森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.210
Official髭男dism、Sexy Zone……音楽的情報量に富んだアレンジが施された作品 新譜5作よりピックアップ
今や日本の音楽シーンを代表する存在となったOfficial髭男dismの新作EP『HELLO EP』、ドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』主題歌としても話題のSexy Zoneの新曲「RUN」。音楽的な情報量に富んだアレンジが施された新作を紹介します!
2020年代J-POPのトップランナーとして疾走し続けるOfficial髭男dismの新作EP『HELLO EP』。表題曲「HELLO」(フジテレビ『めざましテレビ』テーマソング)は力強く低音を響かせるトラック、シンセとギターが奏でる煌びやかなリフ、大切な〈君〉と一緒に不安定な世界を歩く決意を歌った歌詞が結びついたチアフルなロックナンバー。さらにヒゲダンらしい起伏に富んだメロディが心に残る爽やかポップチューン「パラボラ」(「カルピスウォーター」CMソング)、重厚なストリングス、ドラマティックな旋律とともに〈たとえ紛い物だったとしても 自分にとっての正しさを/創造してみるよ〉というラインが高らかに鳴らされる「Laughter」(映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』主題歌)などを収録。話題性のあるタイアップ曲のなかで、さらに精度を上げたポップセンスを心ゆくまで堪能できる充実作だ。
Sexy Zoneは、新レーベル<Top J Records>からの第1弾シングル『RUN』が到着。中島健人(Sexy Zone)&平野紫耀(King & PrinceのW主演ドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』主題歌の表題曲は、躍動感に溢れたバンドサウンドとダンスミュージック的なエディット感が共存するナンバー。現在のトレンドになっている“EDM+生楽器”にも則したトラック、そして、生き生きとした息づかいが伝わるボーカルのバランスが素晴らしい。また、大人と呼ばれる年齢になっても“まだまだ走り続けるんだ”という決意を込めた歌詞は、ドラマのストーリーとメンバーのリアルな感情を結び付けている。通常盤のカップリングには精細なビートとシンセの浮遊感が印象的な「Small Love Song」、60年代モータウンから連なるオーセンティックなポップソング「TOGETHER」を収録。幅広い時代のポップ要素を取り入れたプロダクションにも注目してほしい。
2年前に発表された「秒針を噛む」以降、瞬く間に新世代ポップシーンの旗手として注目されたずっと真夜中でいいのに。の3rdミニアルバム『朗らかな皮膚とて不服』は、シンガーのACAねを中心としたこのユニットが新たなフェーズに突入していることを告げている。緻密な構築美と心地よい解放感を内包したサウンド、怖がり、迷うことを抜け出し“自分に期待したい”という思いを込めた歌詞がぶつかり合う「低血ボルト」、しなやかなベースライン、切れ味のいいギターカッティングに乗って、〈ファンキーな直感で/今日の歌だって 変わってゆくなら〉というフレーズを響かせる「お勉強しといてよ」。冒頭の2曲を聴けば、“ずとまよ”らしい高濃度のポップ感覚、そして、常に変化し続ける意思を感じてもらえるはずだ。