『~LIVEWIRE Suchmos From The Window ~』
Suchmos、配信ライブで『THE ANYMAL』以降のモード引き継ぐ新曲披露 リラックスした雰囲気も伝わる内容に
そして、肝心の曲と演奏について。『THE ANYMAL』以降のモードを引き継いだサイケロック路線、というのが新曲群に対するざっくりとした所感だ。しかし『THE ANYMAL』のときほど張り詰めてはいない。演奏中のリラックスした雰囲気から、今、バンドは肩の力を抜いて好きなことをやれているのだということがーーつまりとても良い状態だということが伝わってきた。
「サルスベリ」のようにヒッピー音楽寄りの曲もあれば、「Underworld」のようにメロウで幻想的な雰囲気のある曲もある。分かりやすくサビがあるのは「ナイトホークス」ぐらいで、あえて言うならこの曲が一番歌謡曲的かもしれない。「Stand By Mirror」や「Magic Time」辺りは、海岸をドライブしながら聴くのに合いそうで、家にいる今の状況をもどかしく感じる。「Dronedrome」は、4分の4拍子と8分の6拍子が同時進行している曲で、例えば、ボーカルとベースは4拍子なのにギターは6拍子、という場面があったりする。一番驚いたのはドラム。手と足で違う拍子を叩いて(踏んで)いるときがあり、よく発狂せずに演奏できるよなあ、というレベルで驚嘆した。「Ghost」はキーボードによるかわいらしいメロディ(電車の発着音のようだ)から始まるものの、スティックカウント後のイントロから雰囲気が一変する不思議な曲。スロー~ミドルテンポの曲が続くなか、7曲目の「To You」はこの日唯一のアッパーチューンで、歌詞も含めて超ロックンロール。これはテンションが上がらざるを得ない。願わくば生で浴びたい。なお、今回のライブでは、KCEEがDJをしない代わりにギターを弾いていた。YONCEもギターを弾くときはギターが3本になる編成だ。
最後の「Dizzy」を終えたところでちょうど1時間。ここで放送が終了した。誰にも媚びない。時流に流されない。ただただ、自分たちがカッコいいと思うことをやる。イカしたコンテンツを制作する。そうして活動してきたSuchmosだからこその「映像作品」と呼びたくなるようなライブだった。こういう姿を見せることがファンに対する「相変わらず元気でやっているぞ」という報告になる。そのことをバンド側も十分に理解しているのだろう。
今回披露された新曲が次の作品に収録されるのかは分からない。また、次の作品がいつリリースされるのかも分からない。が、新曲のみのセットリストにはワクワクさせられっぱなしだったし、とにかく音が良かったので(開演前にヘッドホン着用を推奨するアナウンスがあったのも納得)、例えば“新譜発表日前にいち早く収録曲を披露するパーティー”のように、今後も続いていったら面白いのではないだろうか。
ということで、Suchmosのみなさん、その方向で検討していただけませんか? こんなにも図々しいことを言いたくなるほど、新しく、楽しい体験だった。
■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。
■グッズ販売情報
New Goods <期間限定受注生産販売>
「From The Window TEE Designed by KCEE & TAIHEI」
価格:¥3,500(税込)サイズ:S,M,L,XL カラー:バーガンディ,ナチュラル
受注期間:7月17日(金)正午~7月24日(金)23:59
※商品配送は8月下旬予定。
購入はこちら:SPACE SHOWER STORE
※購入の際には会員登録が必要。
■リリース情報
『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM 2019.09.08』
Deluxe Edition
・LPサイズ仕様ジャケット
・ドキュメンタリーフィルム「Suchmos THE DOCUMENT 2013-2019 “A.N.D.”」
(監督:山田健人)
・ライブフォトブック(撮影・監修:岡田貴之)
※通常盤はどちらも本編映像のみ収録
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