役者・草なぎ剛が人々に求められる理由 演技から伝わる“人間味”と“無垢な視線”

 草なぎは、これまでも主演ドラマ『太閤記 サルと呼ばれた男』『徳川綱吉 イヌと呼ばれた男』(どちらもフジテレビ系)で、それぞれ豊臣秀吉、徳川綱吉を演じてきた。ちなみに、『青天を衝け』で徳川慶喜の側近を演じる堤真一とは、徳川綱吉のときにも共演しているため、より息の合った演技が見られるのでは、と期待が高まる。

 そうした時代劇作品で印象深かったのは、草なぎの眼差しだ。信じてほしい人にはまっすぐな視線を向け、美しい景色を見つめれば噛みしめるように目を細める。歴史上の人物も、こうして生きていたのだろうと想像させてくれる余白を、草なぎのふとした仕草から感じ取れるのだ。

 また、過度に固まった印象をなぞらないのも、草なぎの演技の大きな特長だ。“後の世では◯◯と言われている”という先入観を捨てさせるほど、その時々を懸命に生きる姿を披露してくれる。

 そうした演技ができるのは、きっと草なぎの中にある無垢な部分が決して失われないからではないだろうか。年齢やキャリアを重ねるたびに、人は初めて見る景色に感動したり、一生懸命生きるということに、鈍感になっていく。だが草なぎはその役になるたび、まるで生まれ変わったかのように、新鮮な目の輝きを見せてくれる。

 生きるというのは素晴らしいこと。別れというのは切ないこと。人には命に代えても惜しくない願いがあること……そうした無垢な想いが、彼の演技を通じて私たちの心に流れ込む。そんな演技ができる俳優は、そう多くはいない。忘れかけていた無垢な気持ちを、生きることにまっすぐに向き合いたいときにこそ、役者・草なぎ剛が求められているのかもしれない。

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