堂本剛流ファンクを味わい尽くす KinKi Kids『KANZAI BOYA』とENDRECHERI『LOVE FADERS』に表れたユニークな作風

 6月17日、KinKi Kidsが42枚目のシングル『KANZAI BOYA』をリリースした。同日には、堂本剛のソロプロジェクト・ENDRECHERIもニューアルバム『LOVE FADERS』をリリース。どちらも堂本剛が手掛ける濃密なファンクサウンドでいっぱいの強烈な作品に仕上がっている。これらのリリースにあわせて、ENDRECHERIの過去3作品(『HYBRID FUNK』、『one more purple funk... -硬命 katana-』、『NARALIEN』)がサブスクで解禁されたことも話題を呼んでいる。さらに、7月15日には、期間限定・完全生産限定の映像商品『堂本 剛 祈望 平安神宮 奉納演奏史 2014-2019』の発売を記念して、堂本剛の2009年のプロジェクト・美 我 空から、2016年のプロジェクト・SHAMANIPPONまでの一部楽曲を除く計82曲が追加でデジタル配信されるという。

KinKi Kids『KANZAI BOYA』(通常盤)

 「KANZAI BOYA」は、KinKi Kidsの命名にまつわるエピソードをユーモラスに(故・ジャニー喜多川のモノマネも交えながら)語る一曲。曲名になっているKANZAI BOYAがふたりに最初に付けられていたユニット名だったことは、ファンならずとも知られたエピソードだろう。「魂」になってしまったジャニー喜多川の視点もとりいれた、KANZAI BOYAとKinKi Kidsという2つの名前に対する思い入れが伺えるコミカルな詞がキャッチーだ。しかし、Pファンク系のねっとりとしたグルーヴと華やかなブラスやシンセのサウンドは、これまで堂本剛がソロ活動で展開してきたコアな音楽性そのもの。ワンコードでごりごりに押し通す演奏に、パーカッシブなフックを中心にしたボーカル。そこに堂本剛だけではなく堂本光一の歌声がのっているというだけでも面白い。

 いわばノベルティソングやコミックソング的な味わいの強い「KANZAI BOYA」だが、であればこその堂本剛流ファンクであるとも言える。以前、ENDRECHERIの前作『NARALIEN』について書いたとき、その魅力は、聴かれる演奏のファンクとしてのオーセンティシティ(つまり、どれだけホンモノっぽいか)だけではなく、そこにあふれる堂本剛のキャラクターにあると言ったことがある(ENDRECHERI、新アルバム『NARALIEN』が堂々の1位獲得 楽曲から溢れ出す堂本剛の色気)。さらに言えば、このENDRECHERIの世界観も、SF的な設定を盛り込んだコンセプチュアルな活動で知られるPファンクからの影響を感じられる。ノベルティ的な、ユーモアを交えたエンターテインメントとしての音楽のあり方が、ジャニーズ/Pファンク/J-POPの交点で見事に開花している楽曲だ。

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