TWICEが抱く、表現者であることの“孤独”と“喜び” これからへの道筋も示されたドキュメンタリー最終回
昨年行われた『TWICE:WORLD TOUR 2019 'TWICELIGHTS'』の密着映像とともに、練習生時代から現在に至るTWICEの軌跡を追うドキュメンタリー『TWICE: Seize the Light』も、本稿で振り返るEp 8.をもって一旦幕切れとなる(6月24日午後11時にスペシャルエピソードが公開予定)。
正直に言って「見るのが怖い」というのが、本ドキュメンタリーの公開を知らせるアナウンスを聞いたときの率直な心境であった。
特にジヒョが“ターニングポイント”と表す、自身初のワールドツアーが行われた昨年は、グループに様々な困難が降りかかった一年だった。そこには沢山の、目に見えない心の機微があったであろうことは想像に容易いのに、9人の姿や言葉が切り貼りされ短く収められた映像が彼女たちのこれまでを語るに足りるとは思えなかったのだ。
しかし結果としてこのEp 8.、そしてそこに至るまでの本ドキュメンタリーに映し出されていた光景には、TWICEが行くこれからの旅路に繋がる道筋が、微かながらに示されていたように思う。
「私たちの光がみんなに届くように」と題された最終エピソードは、昨年7月より体調不良を訴え、治療に専念するため休養に入っていたミナの復帰を知らせるニュース映像風のナレーションから始まる。
「ミナがステージに登場」「JYPエンターテインメントによると、ミナの体調は安定しており、彼女の復帰をサポートするとのことです」「TWICEが9人でステージに立ちました」ーーしかし次々流れてくる客観的な言葉よりも、その後に一瞬捉えられる、本格的な復帰の舞台となった福岡公演のオープニングを待ちながらそっと目を閉じるミナ、その手を取って優しく握るジヒョ、ステージを降りてミナの肩を抱くチェヨンの姿の方がよほど雄弁であることに気づかされる。また同時に、「表現者としての彼女たちを心から理解し寄り添うことが出来るのは、やはり彼女たちだけなのかもしれない」ということも思った。
「メンバーたちは、どんなことがあっても一緒にいてくれると気づいた」
休養期間中にグループ内で多くの対話の機会を持ったというミナの言葉からは、“ミナがステージに登場”“TWICEが9人でステージに立ちました”という事実の裏側にある、9人にしか知り得ないこれまでの道のりの存在が感じられた。
「しんどい時は、家族や友達に話してアドバイスをもらったりします。でもメンバーとは、同じ状況にいるからこそ気持ちを分かり合えるんです。何でも一緒にやるので、私が疲れていれば誰よりも私の気持ちを分かってくれます」
そうサナが語るように、異なる場所から出発し同じ夢を目指して出会った9人は、グループとして共に進めてきた歩みのなかで数えきれないほどの時間や感情を分かち合ってきたことだろう。
「身体的にも精神的にも大変ですよ、それが普通です。それでも、それは(メンバー)みんな一緒ですから。1人だともっと寂しいだろうしもっと疲れると思います(チェヨン)
「感情はあまり表に出しませんが、不安を感じるときや落ち込んでいる時もあります。そんな時はお互いに支え合います(サナ)」
「(コンサートで)イヤーモニターをつけるとファンの声が聞こえなくなります。でも、大声で応援してくれるとちゃんと聞こえるんです。真剣なコンサートなのに、嬉しくて笑ってしまいます(ジヒョ)」
「9人もいるので話題が絶えません。些細なことで笑うのが、大きな支えになっていると思います(チェヨン)」
過酷なスケジュールと大きなプレッシャーの中それぞれの身体で感じてきた疲れも、降りかかる困難に頭を悩ませてきた葛藤も、その耳で聴いてきたイヤーモニター越しの歓声も、そして互いの心を満たしてきた楽しい瞬間も、一つ一つ身をもって共感し理解し合えるのは他の誰でもないお互いだろう。
それは一見すれば、何とも寂しい印象を纏う事実かもしれない。しかしドキュメンタリー全体に見られる、文字通り互いを支え合いながら表現者であることの喜びを全身で表す9人の姿は、孤独だけを感じさせるものではなかった。