『あくびをすれば』インタビュー
結成5周年のフレンズが語る『ハクション大魔王2020』EDテーマで再認識した“本質” 積極的な動画配信への思いも
フレンズの5年間での変化は?
ーーなるほど。他のみなさんは、この5年間のバンドの変化についてどんなふうに感じていますか?
三浦:個人的には周囲の環境が大きく変わりました。結婚して子どもが生まれたことは、音楽人としての自分にも大きな影響を与えていると思います。20代の頃は「自分がやっていることは絶対に正しい」と思っていたところもあったし、それを他のメンバーに押し付けていたところもあったと思うんですよね。でも歳を重ね、家族が出来たことで丸くなったというか(笑)。フレンズのメンバーは音楽的にも人柄的にも魅力的だし、そこに対して信頼を置けるようにもなりました。
ひろせひろせ:5年間の変化といえば、やっぱり塁さんが笑えるようになったことでしょう!
一同:(笑)
関ロ:確かに、笑ってドラムを叩けるようにはなりました(笑)。この5年間で変わったところはもちろんあると思うけど、フレンズを結成したときにみんなで掲げた「東京ドームに行きたい」という目標は今も全く変わってないですね。
ーー〈あくびが出るくらい/退屈な日々でも/天気予報の話すら愛おしくなる〉というラインは、コロナ禍で聴くとより響くものがあります。東京では緊急事態宣言が解除されましたが、未だ予断を許さない状況が続いていますよね。皆さんは日々、どんなことを考えていますか?
ひろせひろせ:最初に話したように、『シチュエーション・コメディー』が終わってバンド結成5周年イヤーに突入して、6月から予定されていたツアーに向けて頑張ろうと思っていた矢先のことだったので、1カ月くらい前までは正直悔しい思いでいっぱいでした。でも、この期間中に音楽業界だけでなく、いろんな人たちが様々な試みを行なっているじゃないですか。そういうのを観たり、オンラインで友人たちと話したりしているうちに、勇気づけられたし前向きにもなれた気がします。家にいること自体はそんなに苦でもないですしね。動画編集の勉強とかもやり始めたんですけど、新しいことを学ぶと人は前向きになれるのだなと思いました。
フレンズのことでいうと、これからどんな曲がみんなから出てくるのか、僕自身はこれからどんな曲を書くのかというのは楽しみな部分です。この間もインスタライブで塁さんと話したんですけど、自粛明けの一発目に演奏する曲は何かを考えるのも楽しかった。久しぶりにみんなでスタジオに集まったら、やっぱり照れ臭いのかな……? とか思ったりして(笑)。
えみそん:こんなに長い間引きこもるということは、20歳くらいからほとんどなかったので、ゆったり出来る時間に対する嬉しさもありつつ、映画やドラマをたくさん観たり、曲を作ったり楽器の練習をしたりしていました。あと、オンラインでの飲み会が増えたことによって、たとえば地方に引っ越した子とか普段会えない友人とも気軽に繋がれるようになったことが嬉しくて。オンラインだと8人とかで飲んでいても、みんなの話をちゃんと聞けるじゃないですか。さらに結束が深まる感じがしましたね。
ーー自宅から出られなくなったのに、逆に今までよりも遠くの人と繋がれるようになったのは不思議な現象ですよね。
えみそん:そうなんです。年に一度くらいしか会っていなかった友達と、オンラインを通して月1で顔を合わせて話すようになって。みんなで文集を読んだりして楽しかったです(笑)。
三浦:この期間中に改めて感じたのは、自分一人の力ではどうにも出来ないということ。僕はフレンズというバンドをやっているからこそ、音楽人として成り立っているんだなと実感できました。当然、家族と一緒に過ごす時間も増えたんですけど、きっと皆さんもそうだと思いますが、ここまで一緒にいられる機会ってこの先一生ないだろうと思うと、大変ではあったけれど、とても大切な時間だったんだなと思っています。
関ロ:僕はギターや鍵盤など、普段触っていない楽器を触ったり、落書き程度ですが絵を描いたり、時間があるからこそ出来る挑戦を色々としていました。別にネガティブな意味ではないですが、手を動かしていないと一人で考え込んでしまいそうだったから、夢中になれそうなものを探していましたね。
長島:僕は家庭菜園を始めたんです。肥料とわらを買ってきて、庭の土を耕すところから始めてトマトやきゅうり、なす、オクラを栽培しました。苗の成長具合を毎日観察するのが本当に楽しくて。農家さんの気持ちもわかってきたので、もし自粛期間がこのまま続くようであれば、もう少し本格的に農業を学びたいですね。
音楽との距離感についても考えました。もちろん音楽は大好きなんですけど、何よりバンドをやっていることが好きで、バンドをやっている自分が好きなのだなと。今後、生活スタイルは変わっていくかもしれないけど、自分がこれまで体験してきたこと、体感してきたことが一番好きだしワクワクするので、1日も早くまたバンドで演奏できる日々が戻ってくるといいなと思っています。
ーー「あくびをすれば」のMVも、リモートでの撮影なのに音楽的にも物理的も繋がっているような「仕掛け」が随所に散りばめられていて、観ていてとても楽しかったです。
えみそん:ありがとうございます。あの仕掛けは、フレンズのMVを毎回撮ってくれている加藤マニさんのアイデアなんです。「ここでボールを投げてください」とか「こっちの方向から、太郎くんがびっくりするような行動をとるので、びっくりしてください」というふうに、マニさんの指示通りに動いたものが全部繋がっているのを出来上がってから観て、私も同じようにびっくりしました。