佐藤結衣の「K-POPメンバー図鑑」Vol.14

FTISLAND イ・ホンギ、イ・ジェジン、チェ・ミンファン……バンドにおけるそれぞれの役割と個性

 Five Treasure Island――。

FTISLAND『10th Anniversary ALL TIME BEST/ Yellow [2010-2020]』

 “ファンにとっての宝物みたいな存在になりたい“と願って名付けられたロックバンド、FTISLAND(エフティーアイランド)。2007年6月7日、アルバム『Cheerful Sensibility』で韓国でデビューした彼ら。デビュー当時「現役高校生バンド」としても多くの注目を集め、そのキュートなビジュアルと実力派パフォーマンスで、アイドル的人気を誇るバンドへと成長した。

 2008年6月7日にミニアルバム『Prologue of FTIsland -soyogi-』で日本インディーズデビューを果たし、2010年にはシングル『Flower Rock』で日本メジャーデビュー。日本で広く受け入れられた経験が、彼らの歩みをさらに加速させ、5月に日本デビュー10周年を迎えた。ちなみに平成最後の日、日本武道館でライブを行なったのもFTISLANDだ。

 デビュー当時5名だったメンバーは、紆余曲折を経て3名に。人数が変わろうとも、彼らが守るFTISLANDという宝島が持つワクワクは健在だ。現在、全員が軍服務中のFTISLAND。彼らが完全カムバックする前に、改めてその魅力を紐解きたい。

裏表ゼロの愛されフロントマン、イ・ホンギ

 イ・ホンギの歌声が、もし目に見えたとしたら、きっとかすれやはね、伸びやかなはらい……と躍動感のある筆文字のように鮮やかなのだろう。もともと子役として『マジックキッド・マスリ』で芸能界デビューを果たしたイ・ホンギ。その後、一般の学生になるものの馴染むことができず、徐々にやんちゃモードになっていったという。最初に覚えた日本語は「うるせぇ」だというエピソードも、実にイ・ホンギらしい。

 豪快で、潔くて、仲間想い。そんなイ・ホンギの周囲には、常に多くの友人が囲む。キム・ヒチョル(SUPER JUNIOR)を筆頭にチャン・グンソクらが集まった「チョコボールの会」メンバーとしても有名で、日本でも新田真剣佑、綾野剛をはじめ多くの有名人が彼に魅了されており、ONE OK ROCKのTakaとは楽曲コラボも実現している。

 『イ・ホンギ「Cheers」リリース記念特番!ホンギの本音BAR』(AbemaTV)では、親友として城田優が登場。初対面で、イ・ホンギは城田に「あー、悪い人ー!」と声をかけたそう。というのも、イ・ホンギがドラマ『ROOKIES』(TBS系)のファンだったことから。城田もイ・ホンギの裏表がない言動に、すぐ心を開いたという。

 インタビューやバラエティを見ても、いつだって彼はド直球だ。メンバーとの会話ではピー音が絶えないことも。しかし、だからこそ彼の歌も声も聞き手にズシンと届く。過去には家族について率直に話す番組で「僕も家が大変なときがあった。急に経済的な事情が悪くなった。子役時代、僕が演技をして稼いだお金が家の生活費だった」と打ち明け、悩める少年とその家族を激励したことも。

 また公開オーディション番組『PRODUCE 48』では、センターに立つ資質について「1人が目立つのがセンターではなくて、“私たちを見て“って見せられる人がセンターになるべき」と熱弁。悪ガキなイメージの強い彼が、どれほどの覚悟でFTISLANDのセンターに立っているのか。そして多くの人から好かれるのは、それだけ周囲に愛情を持つからだということが伝わってくる。

 かつて、FTISLANDの裏側を追ったリアリティーショー『Coming Out!FTISLAND』で、イ・ホンギはひとり占い師を訪ねていた。そこで「何をするにしても挑戦者となってしまう」と指摘されていたのが印象的だった。先駆者が整えた道ではなく自らが道を切り拓く人。

 日本でもリメイクされた『美男<イケメン>ですね』をはじめとする俳優としての活躍、ネイルアート本の出版、ファッションブランド『SKULL HONG』の立ち上げ、そしてシンセポップ、EDMといったロックバンドとは異なる音楽性のソロ活動……と、その挑戦に限りがない。イ・ホンギの今後がますます楽しみだ。

イ・ホンギ(from FTISLAND)- Mixtape【OFFICIAL MUSIC VIDEO -Full ver.-】

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