欅坂46「サイレントマジョリティー」は、なぜ支持され続けるのか 社会状況と重なっていく楽曲のメッセージ性

社会状況と重なっていく欅坂46の楽曲

 2020年になり、欅坂46の楽曲はますます焦点が合ってきている。根拠のない噂や欺瞞に溢れた世界で翻弄される主人公を描いた「エキセントリック」は、まるでSNSで繰り返されるデマの拡散や、誹謗中傷の絶えない現在の情報社会の闇を炙り出すかのようだ。

〈あいつがああだって言ってた
こいつがこうだろうって言ってた
差出人のない噂の類(たぐ)い
確証ないほど拡散する〉
(「エキセントリック」より)

 集団から排除される主人公を描いた「黒い羊」は、特定の人物をスケープゴート的に祭り上げる監視社会への警鐘の歌としても読み取れる。

〈自分の色とは違うそれだけで厄介者か?
Oh 自らの真実を捨て白い羊のふりをする者よ
黒い羊を見つけ 指を差して笑うのか?〉
(「黒い羊」より)

 コロナ禍に生きる生活で、これらの歌の重要性はさらに高まっていくように思う。

 「サイレントマジョリティー」もまた、今まさに必要な歌な気がしてならない。しかも、発売された2016年当時と比べると、事態はより深刻化している気さえする。

 勇気を後押しする力強い歌詞、歌い手に課せられた成長、楽曲と結び付いていく社会状況……この曲が今でも支持される理由はこうした点にあるだろう。そして、この曲を聴く我々もまた、彼女たちと同じように試されているのだ。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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