『A3!(エースリー)』第三部開幕 主題歌「モノローグ」と“永遠”をテーマに紡がれる第9幕から新章を考察
第9幕を読んだのち、あらためて咲也の歌う「モノローグ」を聴いてみた。恋をしたときのように高鳴る鼓動とスポットライト、大切な思い出……。セピア色の映像によく似合うこの曲の歌詞を聴いてみると、その目線は今の咲也のもののようで、また未来の咲也のようでもあり、板の上で夢を追ったことのあるすべての人のもののようにも感じられる。胸を焦がすような永遠を見つけ、だが永遠はないと知る。それでもきっと、“信じる”ことはできるのだ。何度でも咲く花は、きっとあるのだと。
最後にもうひとつ。第9幕に続く第10幕の展開についても、考えてみたことを書き残しておきたい。PVでは、第9幕で描かれた秋組と冬組の「悪魔」モチーフの舞台衣装のキャラたちが登場したあと、春組と夏組が時代物の舞台らしき衣装に身を包んだ姿を確認できる。橋と見られる場所や、皇 天馬の衣装の笹と竜胆のような柄、皆木 綴の被っている頭巾は、源義経と武蔵坊弁慶を想像させる。
義経と弁慶はいわゆる主従関係であったという逸話があり、弁慶は辞世の句を義経に向けて「どうか冥土の道の途中で待っていてほしい」と詠み、義経もその後に「後世もそのまた後世でもめぐりあおう」と返した。2人はもう、とうにこの世にはいない。だが、こうして彼らの歌が幾年も後の世まで残ることで、義経と弁慶という存在や願いは生き続ける。「モノローグ」という歌もまた、それを知る人々が生き続ける限り、そこに込められた想いはずっと残っていくのだろうと思う。
■たまお
ゲーム系フリーライター。女性向けコンテンツを中心に、考察記事や舞台・ライブレポート、インタビュー等を『4Gamer.net』『ライブドアニュース』他に寄稿。
Twitter(@tamao_writer)