新しい地図が「#リモートななにー」で示した、立ち止まったときの”新しい価値観”の見つけ方
「家でフェスを鑑賞できる仕組みを作りたい」「7.2時間あったら3人に知ってほしいミュージシャンのプレゼンをしたい」とアイデアを次々と発信してくれたのは氣志團の綾小路翔。彼もまた「こんなに家にいたことがなかったことに気づいた」と話し、自分にとって足りないもの、逆にいらないものも見えてきたそうだ。
川谷絵音は松田聖子や松任谷由実といった昭和歌謡など、これまで以上に広いジャンルの音楽を聞いているという。きっとこの期間のインプットは、彼の次の作品づくりに影響を及ぼすに違いない。また、健康が気になり始めた関根勤は筋トレをスタート。食欲が戻ると多くの映像を楽しみ、得意のモノマネをバージョンアップさせていた。
ふと、思うことがある。コロナ禍以前の私たちは、立ち止まれない大きな勢いにどこか突き動かされていたのではないかと。自分が何を楽しく感じ、どういう生活を望んでいるのか、じっくりと考える時間もなく、社会全体が走り続けてきたように感じる。だが今、大勢の人が立ち止まることを余儀なくされた。これは過ごし方によっては、かつての生活を取り戻すのではなく、新しい未来を切り拓くチャンスにもなるのではないだろうか。
そう考えると、2017年に新しい地図を開いた3人は、一度大きな人生の見つめ直しを経験している。もちろん、それは大変な決断だった。彼らはいつも「必死です」という言葉を繰り返していたし、今も「常に必死です」と言う。とはいえ、彼らの近年の活躍ぶりを見ると、やはり「必死」の先には、思わぬ嬉しい景色が広がっているのだと思わせてくれる。医療に従事している方はもちろん、日常生活を滞りなく進めていく全ての職に就いている方への感謝を忘れないのも、彼ら自身も「必死」を経験しているからこそ。
先日、発売された雑誌『Numero TOKYO』(2020年6月号特装版)で表紙を飾った3人は、インタビューでこんなコメントを寄せていた。
「年齢や経験を積み重ねていくと“これが自分のスタイルだ“、”コレが自分の生き方だ“と自分自身を決めつけて縛ってしまいがち。大事なのは固さではなく柔らかさ。根っこにある変わらない部分を大事にしながら、柔らかい部分も大切にする」(稲垣)
「思い描いていた“完璧“にハマらないからと言って、落ち込んだり凹んだりしても、なんの得にもならないというか。どんどん自分自身を小さくしてしまう。それより、失敗しても“こんなこともあるさ“と、胸を張って生きている人のほうが素敵だなと僕は思う」(草なぎ)
「つまずいて転んだりしたときも、必死だとそれが面白く思えるというか、できないことも“こんなに頑張っているのになんで!?“って笑えて来るんですよ。中途半端だと、そうは思えない。限界まで振り絞るからダメなことも面白くなって楽しくなる」(香取)
見えない敵との戦いは、先が見えない。だが、その大きな壁の前で今私たちは大事なことを見つめるタイミングにある。今、ここから生まれる新しい価値観=あなたの新しい可能性。それこそが、つまりは新しい地図ということなのかもしれない。