ゴールデンボンバー 鬼龍院翔に聞く、“癒し動画”投稿の背景 現在の課題や不安を煽らない発信方法も明かす
こんな状況になっても“鬼龍院翔イズム”を貫きたい気持ちが残っている
ーー優しいですね。
鬼龍院:今はまた新しい動画を作っています。数日前に、やっぱり不安になって眠れなかったんです。寂しくて辛くて、そんな時に「羊を数える」動画があればいいのかなと思いたったんです。「鬼龍院翔が添い寝をして羊を数える動画」を作ったら、ファンも喜ぶのではないかと。で、眠れないのに途中で止まってしまうのもよくないので、朝方まで数えてほしいなと思って、10時間分作りました。
ーーえっ?
鬼龍院:ちなみに9000匹です。
ーーはっ!?
鬼龍院:もちろん、実際に10時間はかけているわけではなく、例えば、音楽ソフト上で、「ななせん(7千)/なんびゃく(何百)/ひき(匹)」なら、「ななせん」の部分は1000回同じじゃないですか。9000パターンをコピーペーストをしていったので、作業としては2、3時間で終わりました。しかし、書き出す途中でパソコンが止まったりして、10時間以上かかってしまい大変でしたね。
ーーその発想、そして作業にかける情熱というか、執念がすごいですね。
鬼龍院:ファンの方が癒やされるといいなぁ。それに、「10時間9000匹」という狂気に満ちた感じがいいんです。焚き火の前で1時間、ずっと喋らないのも狂気を感じるじゃないですか。
ーー先日私も焚き火動画を1時間フルで拝見したのですが、ずっと真顔ですし、正直「やばいな」とは感じました(笑)。
鬼龍院:だから、この動画に対して「狂っている」という感想も好きなんです。何かを極端にやることが、もともと好きなんでしょうね。こんな状況になっても、まだ自分の中の“鬼龍院翔イズム”みたいなものを貫きたい気持ちが残っているんだなと。
ーーそういえば、鬼龍院さんご自身もカバーされていました、財部亮治さんによる「女々しくて」の替え歌動画「自粛して」も話題になっていますね。
鬼龍院:あれを最初にTwitterで見た時に「これは無視できないだろうな」と感じたんです。多分、僕には出来ないことをやっているからそう思ったんでしょうね。僕の立場だったらなかなか選べないような言葉、踏み込んだ歌詞が面白かった。そういった部分に気づけたことも勉強になったし、実際面白いんですよね。結局は、財部さんのセンスがよくて、僕はそこに乗っからせてもらっただけなので。早く僕もなにかをしなきゃいけないなぁ。
ーーこの期間、ミュージシャンに限らず様々な著名人が色々な発信をしています。鬼龍院さんは、極力不安を煽らないような発信をしているように感じます。
鬼龍院:これも、僕自身がそう感じるからなんですよね。テレビやネットニュースを見ていると、暗い情報しか目に入ってこないじゃないですか。そんな中で、好きなバンドマン、とくに僕らみたいな普段バカ騒ぎしているような人間の言葉まで、そうなってしまったら、ファンの心まで暗くしてしまうと思ったので。僕はつとめて、のほほんとした日常を発信するように心がけています。
後編へ続く