森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.196

でんぱ組.inc、OKAMOTO’S……節目の時期を迎えたアーティスト 新譜からピックアップ

 6人体制になって初めてのフルアルバムをリリースするでんぱ組.inc、10周年を総括する2枚組ベストを発表するOKAMOTO’Sなど、節目の時期を迎えたアーティストたちの新作を紹介。これまでのキャリアを経て、新たな表現に辿り着くまでの過程を含めて、じっくりと楽しんでほしいと思う。

でんぱ組.inc『愛が地球救うんさ! だってでんぱ組.incはファミリーでしょ』(通常盤)

 シングル曲「いのちのよろこび」「ボン・デ・フェスタ」を含む、(夢眠ねむの脱退後)6人体制になって最初のフルアルバム『愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ』はタイトル通り、「愛」「ファミリー」がテーマ。容量いっぱいの高速ロックチューンに乗って〈みんな同じで みんな違くてて 大好きだ!〉というフレーズを放つ表題曲(作詞:前山田健一 作曲・編曲:浅野尚志)、コミュ障の人々への美しくも切ない応援歌「星降る引きこもりの夜」(作詞・作曲:の子 編曲:浅野尚志)、ネオソウル×ヒップホップの音像のなかで、穏やかな諦念と希望がゆったり広がる「桜が咲く頃に」(作詞・作曲・編曲:Kai Takahashi(LUCKY TAPES))など、優れたクリエイターとのコラボレーションが楽しめる。90‘sカルチャー、オタクに象徴されるグループのコンセプトをさらに発展させることに成功した充実作だ。

でんぱ組.inc「愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」Music Video
OKAMOTO’S『10’S』

 OKAMOTO’S『10'S BEST』は、ファン投票によるDISC1、メンバーが厳選したDISC2による初のベスト盤。初期のガレージ系ロックンロールからはじまり、ヒップホップ、エレクトロ、オルタナR&Bなどを吸収しながら進化してきた音楽性、そして、卓越した演奏センスに裏打ちされたバンドサウンドを武器に駆け抜けた10年の軌跡を追体験できる。個人的には、人気順に曲を並べたDISC1が、いま現在のライブのセットリストとほぼ同じであることにグッときた。果敢に音楽の幅を広げるたびに新たなリスナーを獲得し、ライブでコミュニケーションを重ねてきた結果が、この記念すべきベストアルバムなのだと思う。新曲「Dance To Moonlight」(Disc2)の気持ち良すぎるグルーヴ、“いつまでも踊ろう”と呼びかける歌詞も最高。デビュー当初は背伸びしている感もあったオカモトショウの歌が、キャリアを重ねるごとに深みを増していることにも注目してほしい。

OKAMOTO'S 「10'S BEST」SPOT

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