ヒプノシスマイク、ライブパフォーマンスにおけるインパクト 6ディビジョンが初めて揃ったAbemaTV特番を観て
男性声優によるラッププロジェクト・ヒプノシスマイク。声優・ラップ・キャラクターを掛け合わせることで新たな境地を切り開いたこのプロジェクトは、見る間に人気を博し、昨年2019年9月には大阪城ホールでのライブを大成功させた。
これに続き、今年3月、初のドーム公演となる5thライブ『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 5th LIVE@サイタマ《SIX SHOTS TO THE DOME》』を開催予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考慮し、開催中止に。それに代わる形で、ライブ開催予定日だった3月29日、AbemaTVにて特別番組『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 5th LIVE@AbemaTV《SIX SHOTS UNTIL THE DOME》』が放送された。
この配信はリアルタイム時での累計視聴数が300万を超え、「#アベマでヒプマイライブ」がTwitterの世界トレンド1位を獲得。日本のみならず世界をも巻き込んでリスナーを熱狂させた、ヒプノシスマイクのライブの魅力に迫りたい。
ヒプノシスマイクのライブの大きな特徴は、“音楽で勝負している”ということだろう。ヒプマイには、目を引くキャラクタービジュアル、武器ではなく言葉が力を持つ世界観、人間関係が絡み合うストーリーなどの要素があるが、ライブでフォーカスされるのはあくまでも楽曲。公演中、キャラクタービジュアルが使われるのもほんのわずかで、ほぼ全編を歌とパフォーマンスに費やす構成は、一般的な音楽ライブと変わりない。
山田一郎(CV:木村昴)の「画面越しだろうが関係ねえぜ! 思いっきりブチ上がってってくれよな!」というセリフで開幕した今回の特別番組も、“音楽とパフォーマンスで魅せる”といういつものアグレッシブな姿勢を貫いていた。
ヒプノシスマイクを彩る楽曲は、日本のヒップホップシーンを牽引するクリエイターを招いて制作されており、とにかくクオリティが高い。ハイレベルなサウンドやリリックに各ディビジョンやキャラクターの個性が盛り込まれることで、一度聴いたら忘れられない中毒性ある曲が揃っている。
そしてライブで驚くべきは、それらの曲を完璧に乗りこなすキャスト陣のパフォーマンス力だろう。歌詞を追うだけでも難しいリリックを流れるように歌いながら、声音、表情、仕草を駆使してキャラクターを浮かび上がらせるテクニックは圧巻だ。
不敵な笑みとダイナミックなパフォーマンスを見せるBuster Bros!!!の山田一郎も、アンニュイな表情で凄みのある声を響かせるMAD TRIGGER CREWの碧棺左馬刻(CV:浅沼晋太郎)も、その人にしか見えなくなっていく。カメラの隅でじゃれあうFling Posseや、アイコンタクトで互いを励ましあう麻天狼の様子からは、その関係性が感じられる。セリフでのかけあいやビジュアルに頼ることなくここまでキャラクターを再現できるのは、見事としか言いようがない。