代官山UNIT、相次ぐイベント自粛を受けた二つの新プロジェクト 発起人に聞く“生ライブ配信”での気づきと課題

 『Help Me!! Help You!!!』では、第1目標を300万円(2020年2月26日から3月10日の約10日間に発生したキャンセル料に補填)、第2目標を700万円(2020年3月10日以降に発生したキャンセル料に補填)としクラウドファンディングを実施。目標を上回る支援があった場合は、生ライブ配信の映像機材の購入費にあて、よりクオリティの高い配信を行える環境を作っていくとのこと。このようなプロジェクトを立ち上げた背景にはアーティストや主催者に対する恩返しがあったという。

「このプロジェクトは公演が中止や延期になり今もお客様の対応に奔走しているアーティストや主催者にこれ以上の負担をかけたくないというスタッフの気持ちから始まりました。現在、新型コロナウイルス感染症の拡散防止による公演中止の場合、私達も会場費の50%を負担し、残りの会場キャンセル料の50%を負担していただいている状況です。なんとか負担を0にして差し上げたいのですが、会場やスタッフの維持を考えると私達にも限界があります。困り果てた挙げ句、いつも音楽を愛しご支援いただけるお客様になんとかこの窮状を知っていただきたくこのプロジェクトを立ち上げました。アーティストや主催者さんの負担を少しでも軽減できればまたいつかお客様により良いライブをお届けして恩返しできるのではとの思いです」

 最後に同氏は、今後の音楽業界の動きについてこのように語った。

「今後コロナウイルス感染が収束することがあっても、ライブと配信の両方を行う新しい流れは続くと思います。Wスタンダードで一つの興行が成立していくことは、音楽業界にとってもとても大きな変化ではないでしょうか。いまも非常に厳しい状況が続いていますが、決して音楽を止めることなく続けていきたいと思っています」

 ライブ中止および延期が相次ぐなか、音楽を止めないために打ち出したプロジェクト『MUSIC NON STOP!』と『Help Me!! Help You!!!』。彼らの新たな試みが、日本の音楽シーンの発展につながることは間違いない。ライブハウスの次なる一手に注目しつつ、苦境に立たされている音楽業界のために自身のできることとは何なのか、今一度考えたいと思う。

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