工藤晴香が語る、『KDHR』に至る音楽遍歴とソロへの強い意志 「『バンドリ!』で今まで知らなかったことを知れた」

工藤晴香、ソロ活動への強い意志

作詞は「自分でやります!」

ーー楽曲を準備していく中で、歌詞をどうするかという話にもなるわけですが、工藤さんご自身が作詞することは最初から決まっていたんですか?

工藤:「こういうサウンドでやっていこう」と決まってから、スタッフさんに「歌詞どうする? 誰か書いてほしい作詞家さんはいる?」と聞かれたんですけど、私自身、あまり詳しくないのもあって「絶対にこの人に書いてほしい」みたいな人が自分の中から出てこなくて。それで「う~ん、自分でやります!」と、勢いで言っちゃったんですよ(笑)。

ーーそうだったんですね。作詞ってそれまで……。

工藤:(話の途中で笑いながら首を振る)

ーーなるほど(笑)。では、かなりハードルが高い作業だったのでは?

工藤:めちゃめちゃハードルが高かったです! いざやると決めて、最初に書いた歌詞を提出したんですけど、赤ペンで添削がたくさん入って戻ってきたときに「ああ、選択をミスったかな?」と思いました(苦笑)。でも、やっていくうちにいろいろコツが掴めてきて、テーマが決まるとサササッと書けるんだなと発見できたんです。まあ、テーマが決まるまでがすごく時間がかかるんですけどね。

ーーそのテーマ決めは、上がってきた楽曲のサウンドやメロディを聴いて決めていったんですか?

工藤:音から始まったものもあれば、先に私が歌詞を書いて作曲家さんに渡して、それをもとにメロディを作ってもらったものもありました。でも、激しい曲はサウンドを聴いて「こんな感じにしよう」みたいなのはありましたね。

ーーだから歌詞も音に引っ張られて、強めになったと。ちなみに歌詞から先に書いたのは?

工藤:「Thunder Beats」「アナタがいるから」「Memory Suddenly」。後半3曲は歌詞先行です。

許す心や間違いを認めることも“強さ”

ーー今回の6曲を通じて、どういう思いを伝えようと考えましたか?

工藤:「私が伝えたいこと、見せたいことってなんだろう?」と考えたんですけど、それが“強さ”なのかなと思って。それは筋肉とか肉体的な強さではなくて、精神的な強さ。「私はこうやって生きていく。今までこういうことがあったけど、それを受け止めて前に進んでいく。諦めない、惑わされない」ということを言葉で表現していきたいだと気づいたんです。と同時に「あなたはあなたらしく、自分は自分らしく生きていけばいいんだよ、前に進んでいけばいいんだよ」っていう、ありのままの自分を受け入れること。それも私は“強さ”だと思っているし、許す心や間違いを認めることも“強さ”だと思っているので、そこを見せていきたいなというのが全体のテーマとしてありました。

ーーそれが工藤さんの中にある理想的な生き方にもつながると?

工藤:そうですね、私自身もこうなりたいという部分もありますし。31年生きてきて、昔は許せなかったことが逆に今は許せるようになってくると「そのほうが楽だな」って気づくじゃないですか。ずっと許せないで怒っていると、疲れちゃうんですよね。許すことによって自分も楽になるし、相手も気が軽くなると思うので、許すことが一番強いんじゃないかと思うんです。許せないことを受け入れて浄化することってなかなかできないことですし、それを受け入れられるようになったときに、ちょっと大人の階段を登ったなというのも感じますし。なので、同じようなことで悩んでいる人や、どうしても許してもらえなかった側の人にも救いになればいいな、という思いもありました。

ーー確かに、そういう感情って歳を重ねていくとおおらかになりますよね。

工藤:そうなんですよね、どうでもいいよって思えてきちゃいますし。昔は他人の目とかも気にしていたんですけど……もちろん今も職業柄、気にしなくちゃいけないんですけど、そこを無理に変えようとはせずに、「あなたはあなたでいいところがある」し「私は私できっといいところがあるはず」ってことに気づけたら、そこをもっと伸ばしていけたらいいよねと前向きになれたんですよ。

ーーでは、歌詞を書くことでもご自身も浄化されたところもあったのでは?

工藤:そうですね。あとは、聴いてくださっている方に寄り添うような歌詞というのも、すごく意識して書いていました。「私はこうだから」みたいな意見を押し付けるというよりは、聴いている方の隣に私がいて「大丈夫だよ」って言ってあげられる、それを感じることができる歌詞はかなり意識しました。

ーー工藤さんのそういう思いって、『バンドリ!』を通じてお客さんの前に立つ機会が増えたことも影響しているのかなと。

工藤:確かに『バンドリ!』での活動はすごく活きています。いかにカッコよく見せるかというのも大事なことではあるんですけど、エンターテイナーとして「どうやったらみんなが喜んでくれるんだろう? どうやったらみんなが感動してくれるんだろう、笑顔になってくれるんだろう?」というのは、ライブをしてきてずっと考えていることで。だから、『バンドリ!』のライブが終わったあとも「あそこのギターソロのフレーズ、超カッコよく弾けたわ」って感じじゃなくて、「あそこのMC、すっごいウケてたよね?」みたいな(笑)。私以外のメンバーも同じ考えなので、そういうメンバーとずっと活動してきたことでそこが活きているというのはありますね。

ーーだからなのか、機械的なサウンドが多く詰め込まれているのに温かさを感じる。それは言葉の持つパワーや温度も大きいのかもしれませんね。

工藤:やっぱりライブを意識して歌詞を書いていたり、サウンドもそこに合わせているところもあるので、そこは大きいですね。「ここはみんなでヘドバンしてほしい」とか「手を上げてほしい」とか、そういう場面をすごく意識して書きましたから。

ーー作詞における言葉選びには、どのように向き合いましたか?

工藤:日本語ってすごく難しいなって改めて思いました。ただ、作詞する上では救われている部分もあって。ひとつの事柄を言い表すにもいろんな表現があるので、例えば「悲しい」という言葉を使いたいけどメロディにハマらなかったら「哀愁」とか別の言葉で代わりが効くわけです。

ーーそういう気づきもあったと。あと、要所要所で韻を踏んでいますよね。その響きの気持ち良さを、歌詞を声に出して読むとより感じるんですよ。

工藤:ああ、よかった。そうなんです、ヒップホップがすごく好きなので、そこはかなり影響を受けていますね。

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