エビ中の成長、日向坂46の躍進、女性アイドルの結婚……『アイドル楽曲大賞』2019年のシーンを振り返る

MELLOW MELLOWは「クリエイティブのレベルが高い」

ーー6位は昨年、けやき坂46から改名デビューした日向坂46「キュン」です。

日向坂46 『キュン』

ピロスエ:SNSでは、楽曲大賞に関連した2019年を象徴する曲という話題で、日向坂46の「キュン」が上がっているのを見かけましたね。

宗像:「キュン」の絶妙な歌謡性ですね。歌謡曲っぽさと明るさ、そして昂揚感を持っていて、絶妙な塩梅でよく出来た曲だなと思いました。

ガリバー:けやき坂46時代から、ダークな欅坂46に対して明るい妹分という位置付けではあったにしろ、一発目のシングルでここまで振り切るかというのは、ファンの間でも戸惑いはあったと思います。結果、独立する上ではそれが一つのカラーになって、2ndシングル曲「ドレミソラシド」に続いていくわけです。彼女たちのハッピーオーラを体現する楽曲だなと思いますし、プロモーションもTikTokを使った“キュンキュンダンス”などユニークでした。坂道シリーズ全体としても「キュン」が最高位で、キャッチーかつフェスにもいっぱい出ていたのが、分かりやすくアイドルファンに届いていたのかな。

日向坂46 『ドレミソラシド』

宗像:「ドレミソラシド」のMVはプールを使った爽やかな映像です。シングルが出た7月の後は、夏フェスにもたくさん出ていて、私は『@JAM EXPO 2019』で観たんですけど、現場は推しジャンの嵐でしたね。日向坂46の受け入れられ方は、勢いがあるなと感じました。

ガリバー:3rdシングルの「こんなに好きになっちゃっていいの」が、攻めた新しい挑戦の楽曲だったんですけど、楽曲大賞では41位なんですよね。4thシングルの「ソンナコトナイヨ」では、明るいアッパーな曲に戻ったので、大人な表情も見せつつ、両輪でやっていくんだろうなと。日向坂46にとって紅白歌合戦初出場も果たし、2019年は100点満点のデビュー年になったんじゃないかと思いますね。

ーー今年の12月には目標に掲げていた東京ドームでのライブも開催します。

ガリバー:1年前に発表するというのも、着実に、継続的に活動していくんだという強い意志が伝わります。濱岸ひよりも復帰して、今年は東京ドームに向けた年になりますね。

ーー8位には煌めき☆アンフォレント「奇跡≒スターチューン」、7位には妹分グループの綺星★フィオレナード「La mia adolescenza.」が入りました。

【MV】La mia adolescenza. / 綺星★フィオレナード
【MV】奇跡≒スターチューン / 煌めき☆アンフォレント

宗像:同じ事務所トイプラのグループで、キラフォレは三重県、スタフィオは東海地方を拠点とする地方アイドルです。対バンイベントに出ると分かるんですけど、キラフォレの曲ってイントロで強いんですよ。それを現場で肌で感じているかで評価は分かれるなと思います。「奇跡≒スターチューン」は曲に入るコールを含めて、現場の一大アンセムになっているので。

ーー10位、11位にはMELLOW MELLOW「WANING MOON」、「Dear My Star」と続きます。

MELLOW MELLOW(メロウメロウ)「WANING MOON」Music Video
MELLOW MELLOW「Dear My Star」Music Video

宗像:2曲とも宮野弦士が作曲をしているんですね。ソウルミュージック、R&B的な要素の入ったブラックミュージックをベースにしたグループです。

ガリバー:活動としては2017年からなので、まだ3年ぐらいなんですよね。SENA、MAMIが、さんみゅ~と並行して活動していた。

岡島:さんみゅ~は、3月1日で全メンバーが卒業しますね。

宗像:ファンの投票を見ると、MELLOW MELLOWに入れた人が、さんみゅ~にも入れているというわけでもないので、MELLOW MELLOWは全く新しい層を獲得しているんですよ。「WANING MOON」のMVは、Perfumeの「再生」を手がけるKASICOといった新進クリエイターを起用していて、クリエイティブのレベルが高いのが素晴らしいなと思います。

岡島:ヴィンテージソウル・ガールズユニットと謳っているので、狙ってる層も定まっていて、付いてるファンが熱いですね。制作陣も振付稼業air:manと、クリエイティブ面においてもしっかりしている。『TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL )』でも注目され、いい結果を出したと思うので今年どうなるか楽しみですね。

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