chelmico×大童澄瞳、『映像研には手を出すな!』の“最強ポイント”とOPテーマ語る「私たちの応援ソングにもなっている」

 トークイベントの後には、chelmicoと大童澄瞳の囲み取材も行われた。アニメを見た感想としてRachelは「私はもともと湯浅監督の大ファンだったので、私たちの曲にあわせて動いているのを見て感動しました。自分の想像を超えてきた。まさかああいう変わったポーズをとるとは(笑)」と語り、Mamikoは「音の使い方が面白い。浅草氏が妄想で作っていく時に、伊藤さんの声で“たったった”とか擬音を表現している部分やオオル(タイチ)さんの音楽もすごく良かった」と魅力をアピール。大童は「アニメのクオリティが高くて嬉しかったです。アニメきっかけで漫画の方に関心を持っていただけることもあると思うので、そういう方々をガッカリさせないように、改めて身が引き締まる思いです」と原作者ならではの喜びを語った。

 また、「三人に共感するポイントは?」という質問にRachelが、「ラップもアニメも男性の多い現場だと思うので、私たちと3人は境遇が近い。でも、本当はそこに性別はまったく関係なくて、当事者はただ好きでやっているだけ。原作でも“女子”であることに対する言及がないし、中には女子高生ものと思う人もいると思うけど、実際に見るとそうなっていないところに安心したというか。シンパシーを感じました」と語ると、大童も納得の表情を見せて「僕は描いている時の感覚で女性や男性を選びますけど、そこは一番重要ではなくて。魅力的なものに対する感情に性別は関係ない。たまに『おっさんを女子高生に投影してマイルドに提供している』という意見も見ますが、美術系の学校には女性は多いし、僕が通っていた時も性別の差を意識する瞬間さえなかったです」と作品の背景を解説した。

 「Easy Breezy」の制作についてMamikoは、「大童さん、湯浅監督、登場する3人と私たちの気持ち、みんな目線は一緒だと感じました。湯浅監督からも『モノ作りをする時のワクワク感を詰め込んでほしい』という要望をいただきましたが、それは私たちの得意分野なので、曲自体もすぐに出来上がりました」と振り返る。Rachelは「アップテンポの曲は今までも作ってきたんですけど、ずっとこういうギターサウンドの曲は作りたいとアイデアも温めていて。ちょうどそういうタイミングで今回の話が来たんですけど、『映像研』と一緒に作れたことで、いつも以上のパワー持った曲が出来上がりました」と説明した。

 今作は、アニメOPで流れる前半と後半で、サウンドや歌詞のイメージが変化していく印象を受ける。

「2番も聴いてほしいです。怒ってますもんね……ちょっと怖がらせたかったのかも。“いいな”って思うきっかけが1番だとしたら、2番は『この音なんか気持ち悪い』とか、『早口で何言ってるかわかんない』みたいなフックを作りたかったんです」(Mamiko)

「ずっと1番のノリが続いても一辺倒になってしまう。原作も読めば読むほどポップなだけではない奥深さが感じられるし、『フルで聴いたら思っていたのと違った』みたいな意外性は意図的に入れました」(Rachel)

 アニメでは流れないパートでは、〈黄ばんだ目のやつら/ばっちいわ ちな、来たら追っ払うわ〉という刺激的なリリックも展開される。

「登場人物3人の気持ちに立った時に“周りから理解されない”という心情もあるんです。ここは近寄ってくる純粋じゃない人、邪魔をしてくる人たちに対する批判的な視線でもあるし、『私たちは好きに楽しくやってます』っていう気持ちも入っています」(Mamiko)

「胸にぐさっと刺さる人も多いんじゃないかな(笑)。私たちも、ただゆるくやっているだけではなく、意地を通す時は通すみたいな。ブーメランじゃないですけど、この歌詞は自分たちにも返ってくるし、私たちにとっての応援ソングにもなっていると思います」(Rachel)

 と、これまでのchelmicoにはない強気な歌詞や曲のギミックについて明かした。

 2019年は「爽健美茶のラップ」や「Player」のヒットで飛躍を見せ、周囲からの期待も多く受けるchelmico。グループの変化についてRachelは「今までの自分たちらしさは、“ゆっくりしよう”や“無理強いしない”、“等身大”というキーワードだったと思います。でも、今は“やるときはやる”という一面もあるのかなっと。熱の入れどころを理解できるようになったことでchelmicoに奥行きができたと思うし。深みが増したことで、私たちがどんな人なのか、どんなことを考えているのかという点にも興味を持っていただける機会も増えたと思います」と語る。最後に2020年の展望ついてMamikoは「曲をたくさん作りたいし、止まりたくない。ガンガンいきたいです! あと、二人で喋る場所も増やしていきたいので、いまはラジオを続けたいです」と意気込みを語った。

chelmico 公式サイト
『映像研には手を出すな!』公式サイト

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