04 Limited Sazabys、異色ツアーが生み出す唯一無二のワクワク感 クリープハイプ迎えた『MYSTERY TOUR』初日公演レポ

フォーリミ×クリープハイプ対バンレポ

 さて、フロアの興奮状態にご機嫌な様子でフォーリミのメンバーが登場。1300人というCLUB CITTA’キャパは大きめのライブハウスとはいえファンにとっては身近な距離感が嬉しいはず。しかも前方に詰めかけるだけでなく、後方で体を揺らすファンもいるという自由な楽しみ方をしているのが頼もしい。序盤、盛り上げながらもミクスチャーテイストの「Brain sugar」で自然にフロア中がジャンプしたり、ダークなコード感とソリッドさが持ち味の「Alien」でラウドに攻めたり、ブロックごとに楽しみ方のベクトルをスピーディに変化させていくライブ巧者ぶりに磨きがかかっている。

GEN
KOUHEI
RYU-TA
HIROKAZ
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 演奏はもちろん、クリープハイプとのエピソードや、ファンの驚きと歓待に輪をかけるMCも楽しい。リハ中にGENのことをノリノリで見ていた女の子と勘違いした尾崎が「あの子なら抱けると思った」とMCしたことを受け、GENが「むしろ俺が尾崎さんを抱く。いや、でもカオナシさんも捨てがたい」と笑わせる。他にも小川幸慈(Gt)が今回のツアービジュアルの紳士に似ているとか、去年終わり頃に尾崎が金髪にしたこともフォーリミとの対バンの“匂わせ“だったんじゃないか? と、GENは言いたい放題。彼のキャラクターを知るファンにとっては周知のジョークだと思うが、同時に普通の対バンツアーを今やって面白いのか? という、飽くなき挑戦心が秘められていることが、このちょっと特殊なライブを成立させている。

 直近のシングルから「Cycle」なども交えながらも、特にリリースに伴うツアーではない今回、フォーリミビギナーから、「今日はどこで自分の山場を作ろうか?」と考えるほどライブに通い詰めているファンまで全方位で楽しめる鉄板ナンバーを連投。中でもメロディと歌の良さを堪能できる「Letter」などの後、GENがこの日のライブの中で唯一、真面目にクリープハイプからの影響について語ったことが印象に残った。バンドとしての立ち居振る舞いや音楽性はもちろん、彼が日本語で歌詞を書くようになった際、尾崎の歌詞の視点から得たものが大きかったというのだ。それは結果的にフォーリミというバンドの個性を日本のポップミュージックの中で際立たせることにもなっただろう。

 今後の対バンにも何らかのテーマが必ずあるに違いないと思うと、冒頭、幕が落ちる瞬間の興奮だけじゃなく、04 Limited Sazabysというバンドの構成要素とユニークさを改めて知るツアーになっていくんじゃないだろうか。

■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Qetic」「SPiCE」「Skream!」「PMC」などで執筆。音楽以外にカルチャー系やライフスタイル系の取材・執筆も行う。

04 Limited Sazabys オフィシャルサイト

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