映画『ラストレター』主題歌で歌手デビュー 森七菜が語る、岩井俊二や小林武史との制作で得た“新たな表現手段”としての音楽

森七菜『カエルノウタ』インタビュー

いろんな人に助けてもらって生きてるなと感じた1枚に

ーーまた、楽曲のMVも岩井さんが監督を務めてます。映画とMVでは演出は違いましたか。

森:そんなに変わらなかったですね。懐かしいなと思いながらやってました。

ーー水中での撮影ですよね。

森:初めてだったんですけど、とにかく楽しかったです。

ーーとても神秘的な映像になってますね。

森:岩井さんの発明ですね。どんな撮り方をしたのかは詳しくは内緒らしいですけど、私の気持ちとしては、最初にいろんな意味があるって言ったじゃないですか。その中の「社会的視点」にものすごく共感してて。〈つぶてを水に放つ〉というのが、SNSで蚊帳の外から石を投げて、ただそこで俯瞰してるだけの人にも投影できるなと思って。だから、歌う時の気持ちには混ぜなかったんですけど、ドラマ『3年A組』に出演した一人としても、いつか伝えたいと思っていたことだったので、MVは映画と切り離して、そういう気持ちを込めて歌ってます。

森七菜 カエルノウタ Music Video

ーードラマはSNSによる暴力をテーマにしてました。

森:このMVでは、私は水の中にいて、少し苦しんでいる。助けたいと思うのかどうかは人それぞれだと思うんですけど、きっと何か届くものがあるんじゃないかなと思ってます。

ーーカエルたちも登場します。

森:衝撃ですよね。岩井さんが初めて作ってみたって言ってて。唇もあって、今にも歌いそうな感じがあって。「ウタガエル」っていうんですけど、4本の指が全部広がっていて、愛らしくて仕方なくて。

ーー三匹いるからこの映画の三角関係を表してるのかと思いました。

森:そうなのかな? 可愛さにうっとりしすぎて気にしてなかった。今度、聞いてみます。

ーー(笑)。お願いします。カップリングについても聞かせてください。最初に歌ったのが「返事はいらない」だったんですよね。

森:はい。一番最初にこれを渡してもらって。岩井さんが『ラストレター』の脚本を執筆中に聞いてらした曲だって聞いて。

ーー手紙をモチーフにした曲で、松任谷由実さんが森さんと同じ18歳の時にリリースしたデビュー曲なんです。

森:リンクしてますね。原曲は、歌なのか、語りなのかわからないくらいのニュアンスで、私もそこが好きだったので、リスペクトさせてもらいながら歌ったんですけど、淡々とした曲調なのですごくむずかしかったです。でも、歌詞も可愛いし、すごく気に入ってますね。

ーーもう1曲、小林武史さんが作曲した「あなたに会えてよかった」もカバーしてます。

森:小泉今日子さんのイメージが強すぎる曲なので、自分のものにするのは難しいな、どうしようって思って。何より、小泉さんが「お父さまのことを思いながら作詞した」と聞いたので、自分のものにしようとか、テクニック的なことを考えても、私には到底届かないものがあるなって思って。だから、一番は気持ちですね。お母さんのことを思いつつ、あとは、ここ最近初めて出会った方が多かったので、そういう方々のことを思い浮かべて歌いました。

森七菜 あなたに会えてよかった Music Video

ーーお母さんに対してはどんな思いがありました?

森:私、高校3年生なので、普通ならもっとお母さんといれたし、もっとお世話も焼いてもらえたけど、東京に来ることが多くなって。なかなか会えないし、電話もあんまりしないので、寂しい気持ちがあるから、そういうところを素直に歌えたらなと思いました。

ーーMVには様々な一般の方々が出演されてます。

森:なんか楽しかったですね。いろんな人がいるんだなって思って。〈あなたに会えて良かった〉っていうのは過去形だけども、初めてお会いした人との未来も考えての〈あなたに会えて良かった〉という意味も込めたいなっていう新しい気持ちも芽生えました。誰かに会えて良かった——そこに、感謝の気持ちだけを込める感じ。ご褒美弁当みたいに、大きいハンバーグだけを詰めるっていう気持ちでやってました。

ーーご褒美弁当って初耳なんですけど。

森:私も今、初めて言った、創作した言葉です(笑)。ご飯とか野菜とかいらないから、大きいハンバーグだけをバンって入れてくれない? みたいな。一番シンプルで、ドカンとくる、それだけの気持ちっていう意味ですね。

ーー(笑)。3曲揃って、ご自身にとってはどんな1枚になりましたか。

森:不思議な気持ちですね。改めて、いろんな人に助けてもらって生きてるなって感じました。実は、ジャケットを永瀬正敏さんが撮ってくださって。映画でご縁があって、「いつか撮ってほしい」とお話した翌日に撮ってもらえませんか? ってお願いして。だから、こうしてジャケットやクレジットを見ると、私以外の名前がたくさん載っていて、本当に〈あなたに会えて良かった〉って思うことが多いし、大切なCDになりましたね。

ーージャケットの写真はこれまでにない表情をしてますよね。

森:永瀬正敏さんと映画『最初の晩餐』で共演した時は親子役だったんですね。私はツンツンしたスネがちな子で。お芝居の中では遠慮もなくやってたから、永瀬さんの前だと遠慮をしなくて済むというか。何をやっても、私がもし間違えたとしても、私が恥ずかしくならないように変えてくれるっていう信頼があったので、新しい顔がでたのかなって思います。

ーー音楽活動はこれからも期待していいですか?

森:歌ってみたいと思ってます。需要があれば……。私は普段、映画を一本見る気持ちでラブソングを聴くことが多いんですね。今回は、恋より愛という感じだったので、18〜19歳の今しか歌えないような、小さな恋の歌を歌ってみたいなと思います。

ーーぜひ歌は続けてほしいと思ってます。最後に2020年の目標を聞かせてください。

森:2019年は本当に予想外のことが多かったので、今年もたくさん予想外のことが起こるといいなと思っていて。期待値も上がっているから、自分がそれに対応できるようにしたい。この春に高校を卒業して上京するので、今まで東京と大分を往復してる時間とか、授業の時間がなくなるので、それを自分の学びの時間に使って、何が起こっても対応できるような人でいたいと思います。

森七菜 サイン入りチェキプレゼント

応募方法

リアルサウンドの公式Twitter公式Instagramをフォロー&本記事ツイートをRTしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンドTwitterアカウント、もしくはInstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。
※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

リアルサウンド 公式Twitter
リアルサウンド 公式Instagram

<応募締切>
2020年1月29日(水)まで

森七菜『カエルノウタ』

■リリース情報
森七菜『カエルノウタ』
発売日:2020年1月15日(水)
SRCL-11339 ¥1,500+税
<収録楽曲>
1. カエルノウタ
2. あなたに会えてよかった
3. 返事はいらない
4. カエルノウタ(Instrumental)
5. あなたに会えてよかった(Instrumental)
6. 返事はいらない(Instrumental)

■出演情報
『ラストレター』
公開:2020年1月17日(金)
監督・脚本・編集:岩井俊二
原作:岩井俊二「ラストレター」(文春文庫刊)
音楽:小林武史
出演:松たか子
広瀬すず
庵野秀明
森七菜
小室等
水越けいこ
木内みどり
鈴木慶一
豊川悦司
中山美穂
神木隆之介
福山雅治          
主題歌:森七菜「カエルノウタ」※作詞:岩井俊二 作曲:小林武史
配給:東宝
(c)2020「ラストレター」製作委員会
映画『ラストレター』公式サイト

■関連リンク
音楽オフィシャルサイト
Twitter(音楽スタッフ(公式))
Instagram

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる