SPECIAL OTHERS、“ワーストでニッチな曲”で見せた底力 ツアー『QUTIMA Ver.27』ファイナルレポ

 再びエレキベースに持ち替えた又吉による、スリリングなフレーズから始まる「APOLLO」は、どこかダニー・ハサウェイの「The Ghetto」を彷彿とさせる曲調と、3音のカタマリで上昇、下降を繰り返すリフレインが中毒的な魅力を放つナンバー。妖艶かつサイケデリックなオルガンソロは、The Doorsの「Light My Fire」をも想起させた。3rdアルバム『PB』からの「Charlie」は、ニューオリンズのセカンドラインビートやDeep Purpleばりのヘヴィなキメ、さらにWham!の「Wake me up before you go-go」っぽいフレーズを散りばめるなど、古今東西の音楽的要素を随所にちりばめていく彼らの引き出しの多さに唸らされた。

 スピリチュアルなインプロビゼーションを挟み、ドラムロールと共にスタートした「ROOT」では、目まぐるしく変化していくリズムパターンにフロアのボルテージも上がっていく。プログレッシブなリフの応酬には一際大きな歓声が上がっていた。切なくメロウな旋律が胸を打つ「beautiful world」、まるで海の底で揺蕩いながら聴いているような「Circle」、メロコアバンドもかくやと言わんばかりのパンキッシュな「Tomorrow」と畳み掛け、柳下と芹澤による幾何学的なユニゾンリフが特徴の「COMBOY」では、ラテン風味たっぷりのドラムソロを披露。続く「SPE TRAIN」のパンキッシュな演奏に、オーディエンスの熱気は最高潮に達した。

 大歓声の中、この日最初のMCタイム。「ツアーファイナル、お越しいただきありがとうございます。皆さん、気付きました? 今日はワースト盤をそのままやっているってことに」と宮原がセットリストの種明かしをした後、続けて「どうだった? 渋かったでしょ?」と客席に話しかけ笑いを誘う。その後も4人全員でオーディエンスと和気藹々としたやり取りをした後、本編最後は「TRIANGLE」を演奏。鳴り止まぬアンコールに応えて演奏したのは、スペアザの代表曲「Laurentech」(2ndアルバム『QUEST』収録)だった。イントロのギターフレーズを柳下が奏でた途端、フロアからは黄色い歓声が。どこか哀愁漂う旋律と、疾走感あふれるリズム隊のコントラストに全てのオーディエンスが酔いしれた。

 本人たち曰く、「ワーストでニッチな曲」だけで構成されたセットリストにも関わらず、この日の公演は大盛況のうちに終了。スペアザの底力を思い知らされる一夜だった。

(文=黒田隆憲/写真=木村篤史)

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