SPECIAL OTHERS、“ワーストでニッチな曲”で見せた底力 ツアー『QUTIMA Ver.27』ファイナルレポ

 SPECIAL OTHERSが12月13日、『ニューシングル(会場限定)とワースト盤 第2弾(会場限定)を販売するツアー QUTIMA Ver.27』のファイナル公演を、東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催した。

 このツアーはタイトル通り、会場限定シングル『TRIANGLE』と、同じく会場限定アルバム『SPECIAL OTHERS WORST Ⅱ』を携え、全国9都市で開催されたもの。スペアザの“ワースト盤”はこれが第二弾で、前回リリースされた際にはメンバーから、「このアルバムはメンバー渾身の作品であるにも関わらず、ライブで思いっきり空振りする曲や、イントロが始まった瞬間おじさんの声2人ぐらいの『おっ』と聞こえ、ギャルたちの声が一切聞こえない曲や、はたまた誰も何も言わない曲などが収められてます」とのコメントが寄せられていた。要するに、数あるスペアザのレパートリーの中でもとりわけマニアックかつ、メンバーの思い入れが強い楽曲が集められた、「ワースト」ならぬ「ディープベスト」とでもいうべき内容なのである。そのためツアー最終日となるこの日の会場は、いつも以上の熱気が渦巻いているように感じた。

 開演時間となり、メンバー4人がステージに登場すると、フロアからは大きな歓声が上がった。まずはウォームアップのジャムセッションが誰からともなく始まり、お互いのコンディションとオーディエンスの熱量を確かめるように、軽く肩慣らし。ひと呼吸置いて、柳下武史(Gt)による流麗なアルペジオに導かれるように、5枚目のアルバム『Have a Nice Day』収録の「Raindrops」からライブはスタートした。

 ステージの両端から向き合うように並んだ宮原良太(Dr)と芹澤優真(Key)による、ブラジル風味のトライバルなコーラスが会場に響き渡り、オーディエンスが心地よさそうに体を揺らし始める。オルガンのリズミカルな裏打ちにメロディックなギターが絡み、と思えばギターがバッキングに回ってオルガンソロを盛り立てるなど、縦横無尽なバンドアンサンブルに早くもフロアは大盛り上がりとなった。

 続く「WINDOW」は通算6枚目のアルバム表題曲。ベースとギターのユニゾンリフから始まって、ディレイを深くかけたオルガンソロがダビーに展開していく。レスリースピーカーの回転スピードを細かく切り替えながら、ニュアンスたっぷりのフレーズを繰り出す芹澤と戯れるかのように、ドコドコと乱れ打つ宮原のスティック捌きが加速する。「DOOR OF THE COSMOS (THE STARS ARE SINGING TOO)」では、又吉優也(Ba)がエレキベースからアップライトベースに持ち替え、箱鳴りのするファットなサウンドでバンドのボトムを支えると、柳下のギターと芹澤の歪んだエレピが一糸乱れぬユニゾンを繰り出す。芹澤、宮原、柳下によるユーモラスかつ浮遊感たっぷりのコーラスも印象的だった。

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