『Time Camera』インタビュー
FANTASTICSが語る、革新的ライブへの手応え「自分たちの本心や本音がギュッと詰まったものになった」
ドラマ仕立てのステージとライブがリンクする、他に類を見ないライブツアー『FANTASTICS SOUND DRAMA 2019 FANTASTIC NINE』12都市17公演を終えたFANTASTICS from EXILE TRIBE。その記念すべき初の単独ツアーを盛り上げた新曲を詰め込んだ4thシングル『Time Camera』が、12月4日にリリースされる。ライブの興奮が蘇るような楽曲についてはもちろん、ファンからも様々な反響を呼んだツアーに込めた思い、目前に控えた2020年の『LDH PERFECT YEAR 2020』への抱負などを聞いた。(古知屋ジュン)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】
「こういうFANTASTICSを見たい」と思えるようなものに
――ニューシングルのタイトル曲「Time Camera」はツアーのセットリストでオープニングを飾った曲ですね。
世界:もともと『SOUND DRAMA』というツアータイトルや演出が決まっていたので、この曲に関してはそれを盛り上げるべく、内容を固めていきました。ライブをご覧になった方はわかると思いますが、この曲がドラマパートとライブパートをつなぐために重要な役割を果たしているんです。かつ、ツアーがスタートしてからもお客さんのリアクションを観ながら振付を2~3回変えてみたり、いろんな試みが詰まっています。振付は“シンプルかつ見やすく”というテーマを統一して、サビを僕、1番を堀夏(堀夏喜。以下、堀)、2番を(木村)慧人が担当しています。曲自体もキャッチーで聴きやすいですし、この曲を聴いて初めてFANTASTICSを知った方が「FANTASTICSはこういうグループなんだ」と思い描きやすいパフォーマンスになっていると思います。
――堀夏さんと慧人さんの担当パートの、個人的なこだわりというと?
堀:ライブで披露するなら、ステージを練り歩くような感じが思い浮かぶ楽曲だと思うんです。でも1曲目なので、まずはがっつり僕たちのパフォーマンスを見せることを考えて、歌詞全部に動きを一つ一つはめていくようなけっこう細かい振付を作り込みました。
木村慧人(以下、木村):僕はボーカル2人から「レコーディングでは歌詞を忠実にお客さんに届けたい!という思いで歌った」と聞いていたので、たとえば〈背伸びして〉いるような感じだったり、誰かの〈背を越えて〉みたりするような、歌だけじゃなくダンスでも歌詞の世界観を表現できる振付を目指して組み立てました。
――この曲では、ボーカルのお二人の歌声の感触が変わったイメージがありました。
中島颯太(以下、中島):すごくキャッチーな曲調なのですが、小竹正人さんに書いていただいた歌詞にすごく深みがあって……。過去・現在・未来の時間軸があって、辛かったり落ち込んだ過去もあったけれど、それを糧にすることで新しい未来が切り開ける、というメッセージの詰まった曲です。歌詞のいろんな箇所で前向きになれる表現を盛り込んでいて、聴いて下さる方にも自分のシチュエーションに置き換えて気分を変えてもらえるような曲だと思いました。今回が4作目になるということもあって、「(2ndシングルの)「Flying Fish」とはまた違った芯のある歌声にしたいね」と(八木)勇征くんと話し合いました。実は最初は爽やか路線で歌っていたのですが、「もうちょっと勢いや深みを出したい」ということで録り直しをしていて、僕たちの歌い回しにも注目していただけたら嬉しいです。
八木勇征(以下、八木):ツアーの1曲目の曲ということで、聴いてくれた方が拳を高く突き上げて盛り上がれるような一曲にしたいという狙いが、僕らの中ではテーマとしてありました。さっき颯太も言ったように芯を感じさせる歌声という部分にこだわって、すごく爽快感のある曲ですが爽やかになりすぎない形に歌い上げた曲です。ライブのオープニングにふさわしい、最高に盛り上がれる楽曲になったと思います。
――(佐藤)大樹さんから始まって世界さんで終わる、Wリーダーをフィーチャーした形もいいですね。
世界:僕は勇征から始まって颯太で終わるパターンもアリなんじゃないかなって思っていたんですけどね(笑)。FANTASTICSは毎回のMVでいろいろ新しい挑戦をしているので、MVを観ていただければ「次は何やるんだろう?」と想像を掻き立てられるようなグループかなと思います。今回は須永秀明さんというはじめましての監督さんとお仕事させていただいたので、新しいアイデアも盛り込みつつ、現場でメンバーから出たアイデアを活かしたり、かなりチームワークが発揮された撮影だったと思います。ファンの方が「こういうFANTASTICSを見たい」と思えるようなものにできたとも思います。
佐藤大樹(以下、佐藤):Aメロから1番のサビに入るまでの、1人が動いてストップモーションを全員でリレーしていくカットがすごく大変でした。現場で当日に動きを決めましたし、あまり練習時間も取れなかったので、すごくチームワークが求められる撮影だったのですが、上手くいったと思います。
澤本夏輝(以下、澤本):あのストップモーションの部分は映像の加工はまったくしていなくて、すべて自分たちでやっています。初めてのことだらけの撮影でした。ボーカル2人が車で移動しながらのリップシーンや、初めてエキストラの方を迎えたパーティシーンとか。
瀬口黎弥(以下、瀬口):まずあの洋館スタジオのロケーションがステキでした。山の中で空気がきれいだし、建物自体があのMVの世界観に入り込みやすいイメージだったので、集中して撮影できて、いいMVになったんじゃないかと。あと衣装でジャケットを着るのは初めてなので、けっこうイメチェンした感じも出ました。
世界:ちょっとクラシカルな古き良き時代の雰囲気を、今の若い子たちが見ると新鮮なんじゃないかなと思います。実はHIROさんから「90年代のR&BのMVの雰囲気がFANTASTICSにハマるんじゃないか?」とアイデアをいただいていて。なのでパフォーマーのソロをMVとしては多めに入れたり、全員でダンスで遊ぶシーンを入れたり、そういった遊び心がふんだんに詰まっていると思います。
――-2曲目の「Tumbling Dice」は、ツアーのアンコール一発目に披露されていましたが、サウンドもパフォーマンスも超絶クールでお客さんの熱気もすごかったです。
世界:まず曲をT.kuraさんと、先輩のJAY’EDさんに作っていただけたのが、僕たちとしてもすごく嬉しかったです。
――レコーディングに際してJAY’EDさんから何かアドバイスは?
中島:ご本人がボーカルディレクションをやってくださったんです。ヒップホップテイストで力強い感じの楽曲で、僕らにとっては新しい挑戦だったので、レコーディングにも時間をかけました。JAY’EDさんがお手本として歌ってくださると、もう上手さがヤバくて(笑)。僕らも歌いながらかすれた感じのハスキーな声やロー(低音)を混ぜてみたり、必死にアプローチを考えました。何より歌の中でのグルーヴ感、リズム感を表現するのが難しかったです。でも楽しかったです。ラッパー的なガヤが入っていますが、これも含めて2人で録ったんです。
八木:最初にデモを聴いてみて率直に新鮮に感じましたし、歌っていて僕自身もめちゃくちゃテンションが上がる一曲です。あと僕たちの歌声が入った音源をパフォーマーのみんなが聴いて「アガる!」と言ってくれたのもすごくうれしかったです。やっぱり一緒にやっているみんなを奮い立たせるような曲じゃないといけないと思いますし、これはライブでどんどん成長していく曲だと思うので、まだまだ歌い込みたいです。
――この曲の振りは世界さんが手掛けたそうで。
澤本:振りもホントにかっこいいんです、カップリングにはもったいないくらいで。
世界:贅沢な曲をいただいたなという認識があったので、もちろん振付にもすごく気合いが入りました。この曲はセットリストの中でも見せ場に置かれているということもありつつ、今までFANTASTICSがやりたかったけどやってこなかったテイストなので、それを凝縮するような形で振付したいと思っていて。音サビみたいなパートや間奏が長めだったり、どちらかというと僕らがダンストラックでやってきたようなことをボーカルも含めて見せていく形です。今までFANTASTICSといえばボーカルが真ん中にいて、パフォーマーがそれを囲むような王道なフォーメーションが多かったのですが、この曲ではボーカルも臨機応変に動いている感じを見ていただけると思います。すごくFANTASTICSらしい、新しいパフォーマンスができたんじゃないかと。
佐藤:さっき澤夏(澤本)も言っていましたが、もう「待ってました!」みたいな振りができあがってきて。音源も解禁されて、次のツアーをやるときには、もっと盛り上がるんじゃないかと思います。イントロからかっこいいので。
中島:この曲がライブのオープニングでもめちゃめちゃ盛り上がる気がします。
――ライブの空気感を変えられる曲ですよね。中毒性があって。
木村:ホントにそうです、何回も聴きたくなりますし、踊っていてもスイッチが入りますし。
世界:ボーカルの一番最初の〈Tumbling Dice〉でみんなぐっと気持ちが入るんです。初日のお客さんがめちゃめちゃビックリしてたよね?
中島:この曲ではみなさん初日からけっこう沸いてくださって、うれしかったです。パフォーマーのみんなが踊り始めると見入っている感じもありましたし、サビでもすごく盛り上がってくれて。
――初見でそれなら120点くらいのリアクションだと思います。
世界:ホントに各地で温かい反応をいただけたと思います。EXILEの楽曲で言うなら「24karats」的な感じで、この曲をきっかけに僕らやLDHに興味を持ってくれる方もいるかもしれない、大きな可能性を秘めた曲じゃないかと。
――もう一曲の「Tarte Tatin」(タルト・タタン)もツアー中盤から披露されていたそうですが、「Tumbling Dice」とは違う方向性の今までのFANTASTICSになかったパターンの楽曲で、80年代ポップ感もありますね。
中島:これも歌詞は小竹さんに書いていただいたのですが「FANTASTICSのライブで日々の悩みや辛いことを忘れて、幸せな気持ちになってもらう」というテーマを意識しながら歌いました。今回サビはファルセットなので爽やかな感覚で聴いていただけると思いますし、街で流れていたら聴き入っちゃうようなのりやすい曲調なので、僕らの新しい一面を出せたのかなと思います。
八木:小竹さんが決めてくださったタイトルにもインパクトを感じました。フランスのリンゴのお菓子のことなんですけど、まず第一印象で「どういう意味が込められているんだろう?」と不思議に思うじゃないですか。聴けば爽快で体を揺らしたくなるような曲調だし、お客さんも一緒に歌いやすいんじゃないかと。振りは黎弥くんが作ってくれたんですが、やっぱりみんなで真似しやすい感じに仕上げてくれたので、会場が一つになれるすてきな曲だと思います。作曲ではEXILE SHOKICHIさんが参加してくださいました。
中島:SHOKICHIさんとイメージの共有をして、爽やかさもありつつ、スパッと勢いを感じさせる歌い回しを意識しました。
瀬口:普段は世界さんや(堀)夏喜が振付をすることが多いんですけど、この曲は僕自身でやってみたくなって。最初にSHOKICHIさんが作ってくれた鼻歌のような感じのデモ音源の段階から聴いていて、FANTASTICSにもすごく合うと思いました。これまでお客さんと一緒に踊るような曲はFANTASTICSにはなかったので、会場では狭い範囲になっちゃいますけど、手だけでも動かして僕らと一緒にライブを楽しんでもらえたらいいなと思って振り付けました。
澤本:自然と見ていて真似したくなるような振りなんです。ダンスを全然しない方でも「かわいいな、踊りやすそう」みたいな。それでいて、僕たちも踊っていて楽しい。
木村:僕らも自然に笑顔になれるんです。お客さんもパフォーマンスを観ていて、辛いことや悩んでることがあっても、きっと笑顔で一緒に踊りたくなるんじゃないかなって。