Mrs. GREEN APPLE『Attitude』レビュー 巧みなアレンジがつくりだすバンドの“華”

 大森はもともと中学生のころからGarageBandを入り口に多重録音に親しみ、ミセスとしての活動においても、デモをDAWを駆使してアレンジ段階までつくりこんできた(ちなみに本作ではバンドが顔を合わせてアレンジした楽曲もあるというので、だんだんとこの作り方も変化しているはず)。というとどうしても打ち込みのビートとか、EDM的なサウンドや構成を指して「DTM的な感性が~」と言いたくなってしまうが、むしろこうした宅録経験が如実に現れているのは、エレクトロニックなサウンドの扱いよりは、録音した素材に施されるこうしたポストプロダクションの手際にあるように思う。

 と、ここまでちょっとした細部に着目しながら本作につながるミセス(あるいは大森)のサウンドが持つキャラクターについて書いてきたが、もちろんほかにも聴きどころのあるアルバムだ。持ち前のポップセンスが炸裂する楽曲のみならず、たとえば「ProPose」の2分過ぎあたりから登場する、スリリングなリズムのかけあいやディレイも駆使したリフの絡み合いには、ポストロックやコンテンポラリージャズにつながるような緊張感あふれるアンサンブルを感じ取ってしまう。渾身の一作であり、また次なる作品へつながるだろうバンドとしてのポテンシャルを改めて感じる一作でもある。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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