あいみょん、GLAY、ミセス、シェフ、Saucy Dog……最新作から感じるソングライティングの妙

the chef cooks me『Feeling』

 ASIAN KUNG-FU GENERATION、Gotch(後藤正文)、チャットモンチーなどのサポートメンバーとしても知られる下村亮介によるバンド・the chef cooks meの、前作『回転体』から約6年ぶりのオリジナルアルバム『Feeling』には、世武裕子、村田シゲ(口ロロ)、中西道彦(Yasei Collective)、YeYe、Gotchなどが参加。自己と他者の感じ方や生き方が混ざり合うことで紡ぎ出される音、言葉、歌が心地よく響く作品となった。人はそれぞれ違っていて、人生に答えはどこにもない。孤独を越え、そのかけがえのない一度限りの生を生き抜きたいーー1曲目の「Now's the time」から伝わってくるメッセージは、このアルバムの軸を担っていると思う。ブラックミュージックのエッセンスを自然に反映させたバンドサウンド、芳醇なグルーヴと奥深い意味を併せ持った歌も素晴らしい。

the chef cooks me Album「Feeling」Trailer Movie
Saucy Dog『ブルーピリオド』

 “ありのまま、自分らしくいればいい”というテーマの「雀ノ欠伸」は、曲の途中でリズムが変化するなど、自由な発想を反映させたアレンジを採用。ぼんやりとした日々を抜け出し、目標に向かって進む決意を歌った「Tough」はパワフルなバンドサウンドで突っ走り、幻想的な恋愛模様を想起させる「月に住む君」は、浮遊感のあるギターフレーズで楽曲の世界観を際立たせる。ライブ動員を拡大し続けている3ピースバンド・Saucy Dogの新ミニアルバムには、歌詞とバンドサウンドが有機的に結びついた楽曲が並んでいる。タイトル「ブルーピリオド」の由来は、ピカソの“青の時代”。初期衝動に貫かれた青さをキープしたまま、普遍的な表現へとまた一歩近づいた充実作だ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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