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宇多田ヒカル『First Love』発売から20年を機に考える、アートワークの文脈

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 宇多田ヒカル『First Love』が1999年3月10日に発売されてから20年が経った。売上は初動で200万枚を超え、約5カ月で700万枚(参照)、そして現在およそ770万枚。今の感覚では信じがたいほどの巨大な数字により「平成で一番売れたアルバム」として歴史に名を刻んだ。

宇多田ヒカル『First Love』

 宇多田のデビュー作ながら、最も洋楽色が強いサウンドは色あせることがない。「Automatic」や「Movin’ on without you」といったシングル曲だけでなく、KOHHが「俺みたいにはなるな」で歌詞をサンプリングした「time will tell」、若い世代にもカバーされる「In My Room」といった名曲はいつ聴いても胸が熱くなる。

 しかし『First Love』をアートワーク抜きに語ることは不可能だ。大きく写し出された16歳の宇多田ヒカルの顔。あのジャケットは「日本国民なら1度は見たことがある」と言っても過言ではないだろう。

 アートディレクターは資生堂 宣伝・デザイン部の高橋歩氏、カメラマンは久家靖秀氏。YouTubeに当時の撮影風景が公開されているが、関係者の証言はほとんど見つからない。確認できる貴重な資料として雑誌『MdN』の2016年12月号「CDジャケット90年代狂騒史」における、ディレクター・沖田英宣氏のインタビューがある。

 それによれば、あの写真は衣装や照明を変えながらおこなったセッションのひとつ。「何十年か先に日本のポップスをアーカイブした書籍が出る時には<名盤>として掲載されているはずなので、そんなジャケットにしたい」とディレクションしたと回想されている。そのねらいが現実となり、それ以降のアルバムは顔ジャケが踏襲された。

 「無垢な表情は、衣装も、ヘアも、背景のシートさえも必要とないと思わせる魅力がありましたね。(中略)全ての焦点は彼女の表情に集まるようにしていきました」とも。大胆なトリミングについては高橋氏と沖田氏の証言が待たれるところだ。

      

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