DA PUMP、堂本剛=ENDRECHERIらの音楽支えるキーボーディスト Gakushiの存在感

 また、Gakushiのアレンジャーとしての仕事にも注目してほしい。まずは加藤ミリヤの「少年少女」。多感な時期の少年少女に対するメッセージを込めた楽曲なのだが、ギターと歌を中心としたフォーキーな佇まいのなかにソウルミュージック、ゴスペルの要素を取り入れ、豊かなグルーヴをたたえたサウンドに仕上げている。歌を中心に据えながら、ルーツミュージックのテイストを加えるアレンジは、Gakushiの真骨頂と言えるだろう。

 Charaの最新アルバム『Baby Bump』に収録された「Pink Cadillac」も、彼のサウンドプロデュースが光る楽曲だ。このコラボレーションは、お互いのルーツであるファンクの話で盛り上がったことがきっかけになったのだという(参照)。アメリカンカルチャー、ピンクのキャデラックをモチーフにしたこの曲の軸になっているのも、P-FUNKを想起させる生々しいファンクサウンドだ。トーキング・モジュレーター、ウィスパーボイス、ラップなどを交えたボーカルのアレンジを含め、さまざまなアイデアを集約したアレンジとなっている。

 自身がリーダーをつとめるインストバンドGakushi Trio(メンバーは鍵盤のGakushiのほか、ドラマーの岸田容男、ベーシストの森多聞)では、ファンク、ソウル、ジャズなどを自由に行き来する音楽性を追求。プレイヤーとしての魅力を存分にアピールしている。ブラックミュージックを基盤に幅広いフィールドで活躍を続けるGakushiの存在は、今後も多くのミュージシャンから求められることになりそうだ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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