『1ミリ Symphony』リリースインタビュー

Machicoが語る、『このすば』と共に歩んだ歌手としての成長「今までにない扉を開かせてもらった」

ホリプロの同期声優はライバルであり、家族のような存在

ーーちなみに『このすば』でお気に入りのキャラクターは?

Machico:ダクネスです。私はもともとクール系のかっこいいキャラクターに惹かれるところがあるので、初めてダクネスを見たときはかっこいいなあと思って……それは騙されてたんですけど(笑)。とにかくそんなことを忘れるぐらいのドMっぷりに私は心を奪われてしまったんです。あんなにエロい気持ちにさせずにドMをバンバン出してくるキャラクターって何なんだ? と思って(笑)。あのパーティーの3人の女の子(アクア、めぐみん、ダクネス)の中で一番まともそうに見えて、一番救いがなくてぶっ飛んだヤバいやつということで、1期のときから応援してます。

ーーこれまで歌ってきた『このすば』の楽曲で思い入れの強い楽曲を選ぶとしたら?

Machico:やっぱり「fantastic dreamer」ですね。この曲のおかげでたくさんの方が私のアーティスト活動を認知してくださりましたし、いろんな景色を見せてもらっているので。ソロでアニサマ(『Animelo Summer Live』)や『ANIMAX MUSIX』といった大きなイベントに出演できたのは『このすば』のおかげと言っても過言ではないですし、実際にそこで「fantastic dreamer」を歌わせてもいただいて。アニメ映像を背負いながら歌うことも、個人のライブではなかなかできないことですし、あの大きなステージからの景色はすごく綺麗でした。

ーー今年2月にはオーケストライベント「『この素晴らしい世界に祝福を!』コンサート 〜この素晴らしい音楽に喝采を!〜」にも出演されて、オーケストラをバックに歌唱をされました。

Machico:めちゃめちゃ難しかったです! 私自身、生バンドで歌う機会が少ないし、すごく大所帯の皆さんとやらせていただいたので、初めてイヤモニでのバランスの取り方がわからなくなってしまって。本番もあんなに緊張したのは久しぶりでした。オーケストラの音がまるで生き物みたいで、自分でリズムを取れたと思ってもスルスル逃げていく感じで、まるでうなぎを捕まえるみたいなんです(笑)。オケだとズレても自分がそこに合わせればいいだけだけど、生演奏だとお互いが空気感を読んでリズムを合わせなくてはならないので、私がそれに慣れていないぶん、ズレることがたくさんあったんです。すごく楽しくて貴重な経験だったんですけど、自分の実力不足も同時に感じました。

ーーそれこそ同じホリプロ所属のMay'nさんはオーケストラコンサートも開催されているので、先輩にコツを聞くのもいいかもしれないですね。

Machico:そうですよね。今度聞いてみよ(笑)。May'nさんは私のことを本当に気にかけてくださって、定期的に「ご飯に行こうね!」と誘ってくださったり、誕生日にはプレゼントを渡してくださったりするんです。私にとってはデビュー前から知っている方が、同じ事務所の先輩にいらっしゃるのも不思議な感覚ですけど、そんな偉大な先輩が自分のことをかわいがってくれているのがすごくうれしくて。私もプライベートなことをバンバン相談しますし、そういう意味でも素敵なお姉さんなんです。

ーー身の周りにそういう先輩がいるのはありがたいですよね。

Machico:そうなんです! 私は本当に人に恵まれてると思っていて、この業界に入ってもそうですし、自分の人生を振り返ったときも素敵な人と出会うことが多いんです。歌手としてはMay'nさんの背中をずっと見させていただいてますし、トークの部分では鷲崎(健)さんや、声優の先輩である岩田光央さんにいろんなことを教わって。特に岩田さんとは以前にふたりでラジオ番組(『カフェ・ド・ボイス・ダイアリー』)をやらせていただいて、そのときに「Machicoちゃんはトークがいい子すぎる。僕は普段の自由にしゃべってるMachicoちゃんのお話のほうが好きだから、あまりリスナーさんがいることを考えずにしゃべったほうがいいよ」とアドバイスしてくださって、それからはいろんな番組にゲスト出演させていただくときも、あまりかしこまらずに自分らしさを出せるようになったんです。あとは同期の存在も大きくて。

ーーMachicoさんと同じく2011年の『第36回ホリプロタレントスカウトキャラバン』を経てホリプロ所属になった、田所あずささん、大橋彩香さん、木戸衣吹さん、山崎エリイさんですね。

Machico:私は広島出身で、上京した当時は友達が全然いなかったんですけど、そんなときに同期の子たちは、ライバルでもあるけど、何でも話せる家族みたいな存在だったんです。ホリプロの同期の子と一緒の現場のときは心が休まったり、人見知りを発動せずに他の子としゃべる勇気をもらえたので、そういう意味では背中を押されていて。私は同期の中では最年長で、他の子に比べるとみんなに認知されるきっかけも遅かったので、その分、「早くみんなと肩を並べられるように頑張るぞ!」と思っていましたし、今でも負けたくないという気持ちはあります。でも、だからといって「今この子が出てる、キーッ!」みたいな感情は全然ないんです(笑)。それぞれが自分の色をしっかりと持って、各々の道を行っているから、私もみんなの活躍を素直に喜べるし、頑張ろうと思えます。

ーーいまふと思いましたけど、もしかしたら『このすば』のカズマたち一行みたいなところがあるかもしれないですね。

Machico:そうですね、やっぱりホリプロの同期の子はみんな、どこか様子がおかしいので……(笑)。でも、それがみんなの愛される理由なんだと思います。愛らしい個性を持っている子がいっぱいいるので、私もいつも癒されてます!

Machico「1ミリ Symphony」(「映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説」テーマソング)ダイジェスト試聴

ーーさて、「1ミリ Symphony」は多保孝一さんがサウンドプロデュースおよび作編曲を担当(作編曲はUTAと共同)、作詞は高橋久美子さんと多保孝一さんという、Machicoさんにとっては初顔合わせの方々との楽曲になります。今までと違う新しいチャレンジはありましたか?

Machico:今までとは音楽の雰囲気が違っていて、間奏に水滴が落ちるような不思議な音色が入っていたり、今まではまっすぐに歌うことが多かったけど、今回は節々に色をつけて耳に残るようなポイントを散りばめました。それと高橋さんが書いてくださった詞の丁寧さにびっくりして。「fantastic dreamer」や「TOMORROW」は『このすば』のハチャメチャな感じが見える歌詞でしたが、今回は賑やかさもあるけど、キャラクターたちが普段は見せない心の弱さも入っている気がします。「『このすば』をこんなに綺麗な言葉で語れるんだ!」と思ったのが素直な気持ちです(笑)。

ーーたしかに歌詞は〈それでも僕らは進むだろう 冷たい涙が頬を濡らしても〉という歌い出しから始まって、今までにない雰囲気でした。

Machico:「君たちホントに冒険せなあかんよ?」って言いたくなりますね(笑)。でも〈この素晴らしい世界を〉というワードとか、「fantastic dreamer」や「TOMORROW」っぽさも歌詞の中に散りばめられていて。

ーーちなみに多保さんや高橋さんのことはご存知でしたか?

Machico:はい! Superflyさんやチャットモンチーさんの曲は青春時代に聴いてましたし、高校の文化祭でチャットモンチーさんの「シャングリラ」を歌ったこともあるので、まさか自分がそんな方々に曲を書いてもらえるなんて思いもしなかったし、いつもとは別のプレッシャーがすごかったです。

ーーレコーディングはいかがでしたか?

Machico:まず、多保さんのプライベートスタジオでプリプロをしたんですけど、マイクの隣に多保さんがいらっしゃる環境で歌ったので緊張しました(笑)。でも、多保さんは私の歌声をすごくほめてくださって。特に私の声質がスタジオのガラスに反響しやすかったみたいで、「こんな声質は初めて聴いた」と言ってもらえたのが、自分としては歌声に個性があったんだと思って、すごくうれしい言葉でした。その後のレコーディング本番も、多保さんも高橋さんも同席してアドバイスしてくださる、すごく温かい現場で。高橋さんはタイトルの「1ミリ」という言葉に心の揺れ動きやもどかしさ、切なさを込めていて、歌の中ではBメロの部分にその気持ちを込めて書いたので、そこは心に問いかけるような歌い方をするようにおっしゃってくださって。

ーー「切なさ」という要素は、今までの『このすば』曲とは違ったアプローチですね。

Machico:「fantastic dreamer」と「TOMORROW」はカズマたちと同じ立ち位置で一緒に走っていく曲だとしたら、今回の「1ミリ Symphony」はカズマたちを一歩引いたところから見守る曲だと思うんです。そういう意味では今までの曲とは違うし、それが映画の曲ならではの新しさなのかなと思っていて。私的にも『このすば』っぽいけど、今までとは毛色の違う楽曲になったと思います。

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