シングル『無謬の花』インタビュー
Mia REGINAが明かす、3人ならではの表現への気づき「それぞれが思う100点のパフォーマンスを」
メンバーとリスナーの数だけ物語が生まれる「無謬の花」
ーー確かに「無謬の花」を聴いていると3人の声や歌い方の違いが明確なくらい明確なんだけど、てんでバラバラではない。ちゃんと3声のハーモニーとして成立していますよね。
若歌:長年の付き合いの賜物、って感じですね(笑)。
リス子:あとは「純正エロティック」の頃にダンスの先生が「リス子はこう」「若歌はこう」「楓裏はこう」ってそれぞれのキャラクターを与えてくれた上で「3人それぞれ突き抜けよう!」って言ってくれたのがきっかけにもなってますね。
ーーそのそれぞれのキャラクターって?
リス子:私はちょっと落ち着いていて、大人っぽい妖艶な感じもありつつも……ダンスの先生曰く「ヘナチョコな峰不二子」(笑)。……ほら、あれ、Mia REGINAのスローガンってなんだっけ?
ーーホントにヘナチョコだ(笑)。
若歌:「強く、気高く、親しみやすく」。
リス子:そうだ! その要素がすべて入ったキャラクターなのかな、と思ってます。
ーー楓裏さんは?
楓裏:私は「なにしてるの?」っていうキャラクターで……。急に叫んだり、観ている方を「あの人メッチャやる気ないじゃん」みたいな気持ちにさせる、一番変なパートを担当しています(笑)。
ーーそうですか? 何度かライブを拝見させていただいたことがあるんですけど、しちゃんとなさってるじゃないですか。
リス子:ライブではちょっと省エネなんですよ。MCとかも私たちは「みなさーんっ!」くらいのテンションなんだけど、楓裏さんは(小声で)「みなさ〜ん」くらいのテンションなので。
ーーあとライブやリリースの告知を担当なさってますよね。
若歌:そういう声を張らないパートが楓裏さんの担当です(笑)。で、私はその逆に飛び跳ねるみたいな。一番ジャンプします!
ーー聞くだに「この子、おバカなのかしら?」って感じですけど……。
若歌:あはははは(笑)。一番元気のいいキャラクターなんです。ジャンプするところでは全力でジャンプするし、ハンドクラップするときも全力で手を叩く。なのに隣の楓裏さんを見たら、なんか指先を重ねるくらいのテンションで手を叩いてるから「あれっ? 私と楓裏さんで疲れ具合が違わなくね?」ってなるんですけど(笑)。
ーーでもそうやって3人のスタンスや温度感が違うから、それぞれの声のキャラクターを楽しめもするし、でもそれぞれがそれぞれのキャラクターを理解しているからハーモニーも成立する、と。
リス子:「絶対に合わせないぞ!」っていう気持ちが合ってるから成立するんでしょうね。
若歌:おっしゃるとおり、それぞれの強みはもうわかっているので、合わせようとしなくてもなんか合っちゃうところがあるのかな、とは思ってます。
ーー一方、歌詞については?
若歌:もちろん好きです。〈変な嗜好が心を包み込んだ瞬間 恋になっていく〉っていうフレーズはうわっ! ……じゃないな、もはやゾッとするくらいドラマチックだと思っていて。すごく文学的だから、絵本を読んでいるような気持ちで歌っています。
楓裏:それでいて言葉自体はわかりやすいから、どう歌えばいいか迷わず、書かれた言葉の印象どおりに歌えました。
リス子:でも単純な物語ではなくて。〈ガラスの靴〉とか出てくるフレーズはちょっと子どもっぽいんだけど、実はちょっと大人の話が描かれているじゃないですか。
ーーちょっとエロティックでもありますね。
リス子:私は〈透き通ってるから、隠してなんておけない ガラスの靴のようなありのままを〉っていう落ちサビフレーズが好きなんですけど、ガラスの靴を心のありように例える比喩表現はかわいいし、しかも〈ガラスの靴〉ってAメロにも出てくるんですよね。その最初の〈ガラスの靴〉フラグを歌詞の終盤で回収しているのも面白かったですし。
ーーそういう歌詞の解釈についても基本的にはほかのメンバーとすり合わせは……。
リス子:そこも3人バラバラですね。だから今の若歌様の話を聞いて「へー、そういうふうにこの曲を聴いてたんだー」ってビックリしました(笑)。
若歌:私もほかのメンバーのことは全然考えてなかったですね。歌詞を私なりに解釈して「自分はこう歌うんだ」っていう気持ちで物語のキャラクターを作って歌ってました。自分で歌詞を書くと、ファンの方がSNSなんかにその歌詞の考察を書いてくれてたりするんですけど、「そのとおり」って思うものもあれば、「全然そういうつもりで書いてないんだけど、そう感じたか」って感心することもあったりして。それと同じだと思うんですよね。メンバー全員それぞれの解釈をしていても、同じ歌詞、同じメロディを歌うのであれば、なんかまとまるんじゃないかなって。
楓裏:私の思うキャラクターのまま歌って「あとは任せた!」って感じなんです。「私なりに歌っておいたので、みなさんよろしくお願いします」って(笑)。
ーーリスナーも解釈は自由? それとも受け取り手にはこう聴いてもらいたい、みたいなことは意識なさるんですか?
リス子:「私はこう感じたよ」っていうことは伝えたいんですけど、聴く方によっては「あっ、この楓裏パートがいいな」「わかるな」っていうこともあるでしょうし。だからこそ3人の歌詞の解釈がバラバラのほうが面白いと思うんですよ。ハマってくれる人が出てくる可能性が3倍になるから(笑)。
ーーさっき若歌さんが言っていたように、3人の解釈とはまったく違う解釈で聴かれても構わない?
リス子:そうなればリスナーさんの数だけ物語が生まれることになるから、面白いですよね。