Official髭男dism「宿命」、WANIMA「夏のどこかへ」……バンドによる今夏のアンセムは?

KEYTALK「ブルーハワイ」

 そんな中、この記事のラストに取り上げたいのがKEYTALKの「ブルーハワイ」である。この曲は、ホットペッパービューティーWeb CM「夏、脱、いつものワタシ」のテーマソングに起用されている。

ホットペッパービューティー夏特別WEB CM「夏、脱、いつものワタシたち」 KEYTALK書き下ろし新曲「ブルーハワイ」コラボMV 出演:中田青渚/神尾楓珠/そわんわん/佐藤ノア/よしあき

 KEYTALKは「Summer Venus」や「YURAMEKI SUMMER」など、これまでも“夏”をテーマにした名曲をリリースしている。今作もそんなKEYTALKのイメージに違わぬ、爽やかで瑞々しいナンバーになっている。「夏、脱、いつものワタシ」のWeb CMの世界観にマッチしており、青春感や甘酸っぱさが滲み出ている。「ブルーハワイ」も先ほど紹介した楽曲と同じように、単なる“夏のお祭りソング”ではない切なさを内包しているように感じる。特徴的なのは、楽曲全体のテンポやコーラスワーク。“イェーイ”というコーラスを部分部分で挟み、さらにサビ終わりではミディアムな流れの中で、“オーオーオー”という合唱パートを挿入している。これにより、哀愁にも似た雰囲気を醸成している。また、このパートは明確に、夏のライブで「全員で歌うこと」をイメージして作られているように感じる。

 数年前のバンドシーンでは、夏ソングはフェスやライブで盛り上がる=躍らせることを重視していたように思う。しかし、今回紹介した3曲は“躍らせる”よりも、合唱するイメージを喚起させる曲展開になっている。一緒に歌えるようなパートを入れ込んだり、歌詞をしっかりと聴き取れるテンポで曲を展開している印象だ。これは、今のロックフェスのムードも反映しているように思うし、バンドシーンの空気が変わってきていることの現れでもあると思う。アプローチは違えども、「合唱」「強い言葉」「軽やかさだけではない切なさやネガティブさ」を感じたこの3曲は、“今年の夏のアンセム”になるかもしれない。

■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。

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