Creepy Nuts、オードリーへのアンサーが形に 最高にトゥースな「よふかしのうた」MV分析
Creepy Nutsのミニアルバム『よふかしのうた』が、8月7日にリリースされる。アルバムタイトルソングの「よふかしのうた」は、『オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー』のテーマソングとして制作された楽曲。2018年10月に配信限定曲としてリリースされ、5月28日にMVが公開となった。
MV公開についてのリリース記事では、「Creepy Nutsの考える最高の夜更かしとして、オードリー春日俊彰の自宅である“むつみ荘”内を借りて、“クラブむつみ荘”としてライブを敢行するストーリーを撮影した内容」とされているが、『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送/以降『ANN』)のリスナー、通称リトルトゥースが観れば一発で『ANN』のネタが満載であることに気づくはずだ。
G視点で始まるMVは、前奏の終わりと共にエロパソに挟まり、窓から顔を出したR-指定が隣の建物のカップルに見られている光景など、MVには『ANN』の珠玉のエピソードネタがこれでもかというほどに詰め込まれている(詳しくは、YouTubeのコメント欄で解説されているのでそちらで)。筆者は、このMVはCreepy Nutsから、オードリーへのアンサーだと捉えている。
オードリーがCreepy Nutsにテーマソングの依頼をしたのは、2018年夏の終わり。同年3月より『オールナイトニッポン0(ZERO)』を担当しているCreepy Nutsが、10月にオードリーの『ANN』へ出演し、その放送にて「よふかしのうた」は初解禁となった。初めて楽曲を聴いたオードリーの2人は、営業の出囃子にすると宣言し、「権利はこっちにあるんだよ」と若林は大絶賛。「春日」「付け焼き刃」といったオードリー『ANN』側のオーダーを無視し、「よふかしの解釈を広めにして、終着点をシリアスにしようと熱い感じ」にしたとDJ 松永は解説していた。
この日の放送で分かるのは、オードリーとCreepy Nuts、特に若林とDJ 松永が相思相愛であることだ。MC.wakaとしてmiwaのライブにサプライズ出演したこともある若林は高校の頃に聴いていたBeastie Boysがかかること、ラッパーがラジオのパーソナリティをやっていることを讃え、「大好き。たまんない」と『0(ZERO)』のリスナーであることを明かしている。Creepy Nutsはヒップホップシーンに在りながらも、異例の路線を辿っているアーティストだ。DJ 松永は今年4月よりワイド番組『ACTION』(TBSラジオ)の水曜パーソナリティを務め、深夜帯だけでなく、夕方の交通情報やラジオショッピングなどもこなす一方で、『ゴッドタン』(テレビ東京系)でのトーク企画「芸人ラジオサミット」にCreepy Nutsで参加し、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)にも“スキマうどんクイーン”を決める企画に出演。テレビ東京のプロデューサー・佐久間宣行からもそのトークスキルを賞賛されている。同じヒップホップアーティストとしては、『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)のパーソナリティを務めるRHYMESTERの宇多丸も、抜群のトークスキルと幅広い知識を持ち合わせているが、オードリー『ANN』の「ひろしのコーナー」で(若林にそそのかされたとは言え)DJ 松永が春日と裸になったという点では、バラエティに強く傾倒していると言える。
DJ松永は、10周年記念ブック『オードリーとオールナイトニッポン 最高にトゥースな武道館編』で企画された朝井リョウとの対談の中で、武道館公演について「『本当に通常放送をやってくれるんだ』って胸打たれた」と語っている。「俺たち内輪ウケを本気でやりに来てますから」と若林の宣言通り、オードリーが武道館という大舞台でリトルトゥースに向けて放ったのは、いつもと変わらない“本気の内輪ウケ”。この日、若林は開口一番「いやー、岡田よ」といつものマネージャーいじりから始めていた。