乃木坂46 桜井玲香、9月卒業へ 7年間グループを支え続けた“優しく寄り添うキャプテン”の姿

 また、桜井は乃木坂46で演技の才能を開花させ、多くの舞台で活躍している。2014年10月の『Mr. カミナリ』からはじまり、2019年2月の『レベッカ』まで7本の舞台に出演。今年8月には『THE BANK ROBBERY!〜ダイヤモンド強奪大作戦〜』、11月にはミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』が控えている。

 しかし、桜井は最初から舞台が好きというわけではなかった。乃木坂46に入るまで舞台を観たことがなく、ミュージカルには苦手意識さえあったという。

 2015年10月の『すべての犬は天国へ行く』で「舞台が楽しい」と思えるようになり、同年11月のミュージカル『リボンの騎士』で「私は歌とダンスが好きなんだ」と改めて気づかされる。舞台での経験が彼女を強い女性に成長させた。

「グループで活動していると、身内もそうだし、番組スタッフや取材していただく方も顔見知りばかりになるんです。そういった環境だと自分を出しやすくなる反面、ラクをしてしまうことになるのかなって。グループを飛び出した舞台の現場で、初めて会う方々と交流した時に得たモノが多かったんです」(『日経エンタテインメント』2019年2月号)

 桜井は女優としての夢を語るようになっていった。

 2019年7月8日、桜井玲香が乃木坂46からの卒業を発表した。公式ブログには「ここ数年、卒業していくメンバーが増え、色々なフィールドで奮闘する姿を見て、自分もそろそろ乃木坂46のその先に続く新たな道標をつくる立場にまわるべきだと思うようになりました」と綴られていた。

 「冷静に乃木坂46を見て分析できている」桜井のことだから、後輩たちの成長に「乃木坂46を任せても大丈夫」という確信があっての決断なのだろう。桜井の卒業発表を受けて、すでにグループを卒業している生駒里奈はInstagramに「貴方の背中こそ乃木坂46だよ」と投稿した。

 “アイドル”桜井玲香にとって最後のステージは乃木坂46にとって聖地である明治神宮野球場だ。

 2015年8月30日&31日に神宮球場で行われたライブでは、30日のオープニング映像が桜井バージョンになっていた。「ウチのキャプテンは優しく見守ってくれる人」「みんなの心を優しくほぐして一緒に向かってくれる人」「それが玲香のやり方で、乃木坂のやり方」という生駒のナレーションとともに、メンバーを抱きしめる桜井の映像が流れた。

「あの映像には勇気をもらいました。キャプテンとしても個人としても自信がない時期に、生駒ちゃんのナレーションで映像を作っていただいたことがうれしかったんです」(『EX大衆』2018年7月号)

 31日にWアンコールが自然発生すると、桜井は「絶対にみなさんを後悔させないようなグループになります!」と口にした。この約束がすでに果たされていることは、乃木坂ファンなら同意してくれるだろう。

 今年の8月30日~9月1日は、神宮球場のステージに立つ桜井玲香にファンが感謝を伝える日になるのかもしれない。ありがとう、心優しきキャプテン。

■大貫真之介(おおぬき しんのすけ)
フリーの編集・ライター。アイドルを中心に、サブカルチャー全般を多くの雑誌に寄稿。『EX大衆』、『月刊エンタメ』、『日経エンタテインメント!』、『OVERTURE』などで坂道シリーズの記事を執筆。

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