キズナアイ、『サマソニ』出演は必然? フロア映えする楽曲群とこれまでの音楽活動が示す相性

 実際、Kizuna AIとしてリリースされてきたこれまでの楽曲は、Norとともに本格的なフューチャーベースを形にしたデビュー曲「Hello, Morning」を筆頭に、Yunomi、Avec Avec、TeddyLoid、MATZ、DE DE MOUSE、☆Taku Takahashi、中田ヤスタカ、kzとの共作になっており、「クラブミュージック風」ではなく、ベースやキックの音ひとつ取ってもフロアで映える本格的な楽曲になっている。また、多くの楽曲で彼女自身が作詞を担当し、バーチャルな存在ならではの感情と、未来への気持ちを作品に落とし込んでいるのも特徴だ。キャラクター性を持ちながら、目の前の観客とリアルタイムで会話ができるVTuberの場合、ライブでは他のアーティスト同様、当日だけの特別な体験が生まれる可能性もある。また、個人的には、彼女と同日にPerfumeが出演することも印象深い。思い返せば、Perfumeの大型フェスへの初出場となったのは2007年の『SUMMER SONIC』。彼女たちはそこから様々なフェスに出演しながらも、現在に至るまで何度もこのフェスに出演している。今年のライブを皮切りに、キズナアイもこのフェスの常連になっていく可能性もあるかもしれない。

Kizuna AI - AIAIAI (feat. 中田ヤスタカ)【Official Music Video】

 今回のキズナアイの『SUMMER SONIC』出演は、バーチャルYouTuberやバーチャルシンガーに夏フェス出演の可能性を開くきっかけになることだろう。それでなくとも、近年はバーチャルな存在による楽曲リリース/ライブ数が急激に増加している他、よみうりランドを舞台にして昨年より規模を拡大して開催される『VtuberLand 2019』や、幕張メッセで開催されるバーチャルファッションをテーマにしたライブイベント『FAVRIC』のように、バーチャルな存在がリアルな場所で様々なカルチャーと繋がるような機会も増えている。そのひとつとして、キズナアイの『SUMMER SONIC』出演は、VTuberの歴史にまた新たな扉を開くことになりそうだ。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

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