SETA、各界のキーマンを魅了する新時代の才能 佐橋佳幸らの証言や2ndワンマンから考える

SETAが持つ、SSWとしての可能性

 また、SETAは音楽と並行して小説の執筆もおこなっており、数々の賞を受賞した電通のコピーライター、保持壮太郎との小説執筆ユニット「ひつじとくじら」として活動している。音楽以外の分野でもまた輝かしい実績を誇る人物からバックアップを得ているわけだ。小説の執筆と音楽活動は相互に作用しており、今回のライブでも披露された「あと一ミリ足りない人生」は、noteに掲載している小説『東京地下2階』からインスピレーションを受けて生まれた楽曲だという。

 noteはテキストのほか写真や動画などを投稿できる配信サイト。SETAのアカウントは約1万人のフォロワーを擁し、積極的に更新がおこなわれている。TwitterやInstagramではなく、あえて長文テキストのコンテンツが主体のnoteを選んだのは、小説の執筆もおこなう彼女のスタイルに即した展開といえる。今回のライブの会場といい、note運営とSETAチームとの間には強い連携が窺い知れるが、このチームアップがなされた敬意についてnoteのディレクター、玉置氏はこう語る。

「SETAさんがnoteに興味を持ってくださっていて、共通の知人のご紹介でお会いしたのが最初です。もともとWebサイトを持っていらっしゃったのですが、noteでも独自ドメインを使えることを知って、完全にnoteに移行することを決めていただきました。

 SETAさんは今ミュージシャンとしての活動にとどまらず小説を発表したり、4コマ漫画を始めていらっしゃっています。その場がnoteであったことにとても喜びを感じています。

 我々はSETAさんの制作に直接関わっているわけではありませんが、noteはクリエイターの活動を応援するプラットフォームであり、様々な表現を助ける場所であればと思っています。今後もSETAさんの活動を応援していきたいと考えています」

 MySpaceからArctic Monkeysが、YouTubeからジャスティン・ビーバーが、ニコニコ動画から米津玄師が、AbemaTVから崎山蒼志が現れたように、新たなWebサービスが生まれるたび、それぞれの形式にフィットした新たなスターが世間を賑わせてきた。noteにとってのそういった存在にSETAがなりうるのか、今後を注視したい。

 ライブ最後の曲「はれるよ」は、佐橋・有賀両名がステージ裏に下がり、SETAのみのキーボード弾き語りを披露した。ところがSETAは2回し目の直前の同じ箇所で2度ピアノを弾き間違え、場内は笑いと心配で包まれる。3回目でなんとか弾ききり無事全行程を終えたが、なんともゆるい幕引き。ただ、ステージ裏の佐橋は「SETAはいつもこうなんだよなあ。大事なところでやらかすんだよ」と笑う。

 演奏のミスを謝りながらも、最後は明るく観客に感謝を述べて下がっていったSETA。こうして周囲のプロジェクトメンバーが暖かく見守っている姿が非常に稀有なものに思えるが、彼女の人柄や作品の世界観がそうさせているのだろう。フックのある楽曲が注目を集めやすい時代において、こうした正統派なポップミュージックは日の目を見づらいものかもしれない。しかし、周囲を固める盤石のチームメンバーと彼女自身の可能性とが相まって、今後の広がりに思いを馳せさせるライブだった。

■ヒラギノ游ゴ
平成東京生まれのライター・編集者。音楽、お笑い、スニーカー、90~00年代ストリートカルチャーなどについて寄稿。

■セットリスト
第2回ワンマンライヴ『塩こしょう少々 Vol.2』
6月13日(木)ピース オブ ケイク イベントスペース
1.大人記念日
2.純愛マーチ
3.あと一ミリ足りない人生
4.卑怯者たち
5.火曜日の朝
6.First Boy
7.普通の女の子
8.夜行バス
9.金魚鉢
10.サンデー
11.虹色ペダル
12.はれるよ

■リリース情報
「あと一ミリ足りない人生」
6月13日(水)配信リリース

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詳細はこちら

SETA公式note
SETA公式Twitter

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