MALIYA、テン年代のシンガーが提示する芯の強さとアイデンティティ 2nd EP『unswyd』を分析

 『unswyd』は、MALIYA自身のルーツでもあるブラックミュージックを基盤としつつ、エレクトロやコンテンポラリーR&Bといった現行の海外音楽シーンとも呼応する作品に仕上がっている。4月12日、MALIYAがOpus Innらとともに出演した『TEN'S LOUNGE』(表参道・WALL&WALL)にて直接話を聞ける機会があり、その時彼女はこう話してくれた。「新鮮なことをしたいなと思って作りました。打ち込みのアルバムだけど、シンガー的な作品にしたくて」。

 確かにその通りだ。音楽も多様な現代においてジャンルのクロスオーバーは珍しいことではないし、参加しているビートメイカーたちも様々なジャンルを昇華して本作での見事なサウンドプロデュースを手掛けている。「I’m Ready」や「TICKET(feat.Opus Inn)」の乾いた感触が特徴のビートと、「Drop me a line」に出てくる携帯の着信音をリファレンスした耳馴染みのある音色が対比的だが、MALIYAの歌声はどんなサウンドやビートの上でも、R&Bやジャズの要素を内包したソウルミュージックの質感で歌い上げるその声で、作品に一本の芯を通し、温度感のコントラストをより上げているように感じる。

MALIYA - Drop me a line [Official Visualizer]

 タイトルの『unswyd』=(unswayed)はブレない、左右されないという意味を持つ。〈No time for haters 媚び売らない性格 その時間にmake music〉という1フレーズが鮮烈に残る1曲目の「I’m Ready」から始まり、作品のラストを締めくくる「Cut my hair」では髪を切る=別れを決意して前に進む強い女性の意志が描かれている。本作はアルバムのタイトル通り揺るぎない信念を綴った歌詞が多く、同性の心をガツンと掴むガールクラッシュな作品でもあり、MALIYAのアイデンティティが表現された1枚になっている気がした。

 またMALIYAは、NAOなど注目の女性シンガーを輩出するUKシーンのホットスポット、サウスロンドン出身のシンガーであるジャズ・カリスの初来日公演(5月25日)にオープニングアクトとして出演することが決定している。日本の音楽シーンに欠かせない存在となっていくであろうMALIYAと、海外の注目シンガーたちとの共演も見逃せない。

(文=神人未稀)

■リリース情報
『unswyd』
発売:4月24日(水)(※タワレコ限定)
価格:¥1,500(税抜)
<TRACK LIST>
1. I'm Ready / prod.by MONJOE(DATS)
2.Set me on fire 
3.Drop me a line / prod.by Kai Takahashi (LUCKY TAPES)
4.TICKET feat.Opus Inn / prod.by Opus Inn
5.Cut my hair / prod.by Yoshi Kodate

Executive Producer : Kosuke Harada

『unswyd』配信はこちら

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