佐藤千亜妃、江沼郁弥、tomodati……ソロ活動で追求される音楽性と滲み出るキャラクターに注目

 最後に紹介するのは、Have a nice day!のギタリストでもある中村むつおが主導するユニット、tomodatiだ。Have a Nice Day!自体もポップなダンスサウンドで人気を博しているが、tomodatiもポップへの振り切れ方は引けを取らない。1stアルバムの『tomodati』は2015年の活動開始以来、待望のリリースとなった。

 M1「1000%」からいきなり披露されるサンプルのカットアップとフィルター使いがフレンチタッチのハウスサウンドが全開で、ゼロ年代のダンスミュージックに親しんだ世代には直撃するはず。またそれはノスタルジーにはとどまらず、ビッグルーム系のEDMやフューチャーベースの流行を経たうえでのチル化、ハウス回帰であるとか、あるいは「ポップ」という枠組みの見直しが進む今ならではのサウンドでもある。M4「kawaii」の楽曲構成やボーカルカットアップはフューチャーベース以後のポップスとゼロ年代のダンスポップを接続しなおしたかのようで興味深く、なによりキャッチーだ。全体として未来志向に感じられるのは、M2「フューチャーミュージック」やM11「ロックスターになれなかった」の歌詞が示すアティチュードの賜物だろう。

 3人(組)とも、「バンド活動の余技」などにとどまらない音楽性の伸びしろを如実に示しており、今後の活動が楽しみだ。こうした意欲的な作品が、時代の空気を徐々に変えていくことを願いたい。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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