BTSはアメリカのポップカルチャーの一部に ボーイバンド=男子アイドルグループの歴史から考察

 アメリカで人気のボーイバンド=男子アイドルグループーーアメリカにおける”アイドルグループ”の定義は曖昧で、主に若い女性に非常に人気のある、若い男性メンバーで構成されているグループを指すーーの歴史を紐解いてみると、その始まりの1つがイギリスのThe Beatlesであったように、実は過去の人気グループの多くが“アメリカ発祥のグループ”ではない。「Boys In The Band」の歌詞に登場するグループも、韓国のBTSを含め、プエルトリコのMENUDO(リッキー・マーティンが所属したグループ)、アイルランドのWestlife、Take That、One Direction(ともにイギリス)など、半数近くが海外のグループだ。アメリカが多人種国家であることも関係しているだろうが、The Jackson 5やB2Kなどメンバーが有色人種のアメリカ発グループも少なくない。つまり、アメリカの“音楽の歴史”ではなく“アイドル文化の歴史”において、“萌え”や“ときめき”というプリミティブな感情の前では、国籍や人種はそれほど大きな壁ではないのかもしれない。さらにインターネットの発達により、国境や言語の壁をも超えやすくなった現代において、BTSのような“母国語で歌っても世界的な人気を得ることができる”グループが登場したことは必然だろう。

 「Boys In The Band」の中にはBOYZ II MENやNew Editionのような、日本の基準では“アイドル”には分類されなさそうなグループの名前も登場する。つまり、ボーイバンド=男性アイドルグループは音楽的な技巧の面では他のアーティスト達と並列に見られる位置づけであるということでもある。この点では、事情は異なるが若い男性アーティストの多くが“アイドル”という括りで活動する韓国と似ている部分があるのかもしれない。

 BTSがアメリカで大衆的に認知されるきっかけとなった『BBMA』のソーシャルアワードに、今年度はEXOとGOT7もノミネートされており、女子ではBLACKPINKがK-POPグループとしては初めて『コーチェラ・フェスティバル』のステージに立った。BTSが新しい“アイドル体験”をもたらしたことで、K-POP自体がポップカルチャーの一部としてアメリカの市場から認識されやすくなったと言えるだろう。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
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