“バーチャルYouTuber界の歌姫”富士葵、カバーアルバムで発揮した実力と歌声の可能性

VTuber 富士葵、カバーアルバムに感じた可能性

 収録曲に目を向けると、1曲目の「NIPPON」は、椎名林檎が『FIFAワールドカップブラジル大会』のNHKサッカー関連のテーマ曲として書き下ろした、いわばサッカー日本代表の“応援ソング”。富士葵のコンセプトにもぴったりで、アルバム冒頭からテンションを高めてスタートを切る。続く「First Love」(宇多田ヒカル)は、低音から裏声、優しくもパワフルで、英語の発音も難しい楽曲だが、原曲の世界観を壊さずに歌い切る富士葵の歌声に、改めて実力を感じる。さらにそれを感じたのが「月光」(鬼束ちひろ)。優しくもパワフルな序盤から、終盤に向かって神々しさすら感じる歌声は、まさに自分の魂を削りながら歌っているよう。表現力の豊かさが感じられる1曲に仕上がっている。

富士葵カバーアルバム「声 〜Cover ch.〜」全曲ティザー映像

 このほかにも、90年代J-POPのスタンダードナンバー・Le Couple「ひだまりの詩」や、奥華子「変わらないもの」、RADWIMPS「なんでもないや」など、彼女らしい心に響く楽曲の数々が収録されている。アルバムを通して聴くと、幅広いジャンルを歌いこなす歌唱力や表現力のみならず、彼女の歌には“心”があり、原曲とアーティストに尊敬を持って歌っていることが改めて伝わってくる。

 アーティストとしての新たなチャレンジであり、ファンへのプレゼントでもある今作は、富士葵の歌声の可能性の広がりを感じさせるアルバムとなった。

(文=本 手)

富士葵『声 〜Cover ch.〜』

■リリース情報
富士葵
配信限定カバーアルバム『声 〜Cover ch.〜』
2019年4月15日(月)発売
価格:¥2,200(税込)
配信先:iTunes、レコチョク、Apple Music、LINE MUSIC 他ダウンロード、ストリーミ
ングサービスにて
詳細はこちら

<収録曲>
01.NIPPON
02.First Love
03.糸
04.月光
05.シャルル
06.フリージア
07.シュガーソングとビターステップ(バンドル配信のみ)
08.変わらないもの
09.ひだまりの詩
10.GLAMOROUS SKY
11.なんでもないや(movie ver.)
12.小さきもの

■関連リンク
公式ホームページ

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