『10th Anniversary Live -偶然!?-』日本武道館公演
遊助、日本武道館でファンと誓った11年目の約束 「これからもみんなと笑い合っていたい」
この先100年よろしく。ゆーすけより
中盤はダンサーを従えて「ルーレット 遊turing Mummy-D」や「今夜は無礼講 遊turing 餓鬼レンジャー」といったヒップホップチューンを連発。裏表のない仲間思いのキャラクターで、ミュージシャンの友人も多い遊助は、湘南乃風や童子-Tなど多彩なアーティストとコラボしていて、2016年にはそれらを集めた『遊情BEST』もリリースしたほど。ダンサーと一緒にダンスしながら、会場を所狭しと駆け回り、会場をアゲアゲのムードにプッシュアップした。その勢いのまま歌った「わんぱく野球バカ」では、タオルをバットに見立てて豪快にスウィングしてみせる。SEのカキーンという音と共に、特大ホームランをかっ飛ばすように、歌声を会場に響かせた。
遊助の新たな一面を見せてくれたのは、Wアンコールだ。黒いスーツ姿でアコースティックギターをかき鳴らしながら歌った「砂時計」は、18名の生のストリングスが加わった壮大なサウンドに乗せて、大人の男としての力強くエモーショナルな歌声を聴かせる。四十にして惑わずとは言ったもので、4月に40歳を迎える遊助の決意のようなものが滲み溢れていた。
「バカだとか世間知らずだと笑われても、芝居もバラエティ番組も、作詞もライブも、一度も手を抜いたことはない。俺が手を抜いたら、何も残らないから。そうしてやってきたら、気づかないうちに誰かが支えてくれていて、孤独を感じたときはみんなの“かっ飛ばせ”の声が聞こえてきた。これからも、みんなと笑い合っていたい。5周年、10周年、いつかわかないけど、2019年2月28日にこいつらと出会えたおかげだと言いたい。今日の武道館があったからだと言いたい」
ラストに歌ったのは「History Ⅶ」。第2章の始まりを歌ったこの曲と共に、遊助の11年目が始まった。ステージのビジョンには「10年ありがとう。この先100年よろしく。ゆーすけより」と、自筆のメッセージ。100年先なんて生きているわけないのに、やっぱり遊助はバカだ。でも、そんな少年っぽいことを言っても許せるのは、バカがつくほどマジメに一生懸命、手を抜かずにやってきた遊助だけの特権だ。
(写真=キセキミチコ)
■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。