神山羊「YELLOW」3カ月半で1,000万再生突破、話題の新たな才能を紐解く

YouTubeで1,000万再生を突破

 昨今、ネット発音楽シーンの新潮流には目を見張るものがある。“米津玄師以降の時代”とでも言うべきか。Eve、須田景凪(バルーン)、ヨルシカ、Reol、majiko、ずっと真夜中でいいのに。など、次世代ロック&ポップシーンを開拓する革新アーティストの覚醒が止まらない。出自である“ボカロ文化”にもはや偏見はなく、今やクリエイターが世にでるきっかけとしてのインキュベーション機能を担っている。言わば、80〜90年代にバンドブームを生んだ“ライブハウス文化”と同義と言えるかもしれない。ボカロ文化発の新しい才能が、日本のロック&ポップシーンをアップデートしているのだ。

 そんななか、驚異のニューカマー神山羊(Yoh Kamiyama)のデビュー曲「YELLOW」が、たった3カ月半でYouTube1,000万再生を突破したことは事件だ。

「YELLOW」→ TikTok二次創作作品への波及

 「YELLOW」は神山羊第1弾作品として、昨年11月3日に配信されたナンバーだ。イントロから重めの四つ打ちビートによって加速する衝撃度の高いポップチューン。クリエイター東洋医学によってストーリーテリングされていくアニメーション動画とジャストにシンクロする高揚感の凄み。ダークヒーローを思わせる世界観の中、洗練されたグルーヴ感がたまらない。

神山羊 - YELLOW【Music Video】/ Yoh Kamiyama - YELLOW

 クールかつエモーショナル。独創的なクリエイティビティを解き放つ「YELLOW」は、ティーンを中心に人気の短編動画共有アプリTikTokでもフックアップされ、四つ打ちビートにインスパイアされた音楽的な“二次創作動画”がアップされ続けている。誤解を恐れずにいえば、過度なプロモーションよりも本質的な作品力が評価へと繋がるネットシーン。“楽曲を発表すること自体がプロモーション”になるという、まさに“新時代のヒット曲の誕生の瞬間”を神山羊が起こしたこの現象から感じたのだ。

 2月13日にアップされたばかりの2作品目となる「青い棘」は、早くも49万再生を突破。叙情的な切なきR&Bセンスにこだわりを感じる音使いの繊細さ。ミュージックビデオは、2019年ロックシーン要注目のバンドKing Gnuの映像作品を手がけるクリエイティブ集団PERIMETRONが実写ビジュアルを構築。神山羊本人が映像に登場している。

神山羊 - 青い棘【Music Video】/ Yoh Kamiyama - Aoi Toge

 そのボーカリゼーションから、神山羊は米津玄師と比較されることが多い。しかし、視点を変えてみるとそのサウンドセンスから、BUMP OF CHICKEN〜RADWIMPS〜米津玄師〜King Gnuの系譜から連なる“日本独自のオリジナリティを持つロック&ポップ文化”をアップデートする新しい才能と位置づけたい。「青い棘」に顕著だが、スキルフルな革新的ロックバンドKing Gnuとの接点を強く感じられたことが興味深い。

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