パノラマパナマタウン、なぜ走る? 「めちゃめちゃ生きてる」MV撮影から見えた“情熱とユーモア”

 地下歩道では岩渕のリップシンクのソロカットも撮影。ヒップホップ的ともロック的とも、形容しにくい独特のアクションで、時には地面に寝転ぶなどの予想できない動きで、カメラクルーをも翻弄していた。「いろんなバンドさんを撮ってきましたが、特に岩渕さんはいい意味でちょっと狂ってるというか。パフォーマンスも、1、2を争うくらい面白い。特にリップシンクのパフォーマンスはらしさが出ていて、めちゃくちゃ刺激的でした」(南)。

 メインとなる地下歩道での撮影を終え、地上に出ると、この日は凍えるほどの雪と風。そんな中、岩渕が一目惚れする女性に出会うシーンの撮影を敢行した。メンバー4人で歩道をダラダラ歩いていると、すれ違う女性に惹かれた岩渕が、とっさに彼女の手をとるも慌てて離す。そして、連絡先を渡そうとメモ帳を出すが書くものがなくパニックになるといった一連のシーン。唐突な出来事をどう自然に見せていくかについて、何度もリプレイを見ながら、納得いくまで監督と熱くディスカッションを重ねながら、試行錯誤していく岩渕。中でもパニックになりながらメモ帳を出し、コートやズボンのポケットから書くものを探すシーンは何テイクも行い、回数を重ねるごとにどんどん演技が真に迫っていった。

 このシーンに限らず、全体的に「ユーモアってやりすぎることがユーモアだと思ってて。普通やらないでしょ? ってとこまでやりたいですね」と岩渕。また「バンドってかっこよく見せたいというか、なんとなくの美学に則ってやってることがすごく多い気がする。でも僕らは音楽もなんとなくかっこいいぐらいじゃなくて、ダサいかヤバイぐらいのものを作りたいし、ミュージックビデオでもそういうことを表現できたらなと思ってます」とパノラマパナマタウンとしての信念を語った。

 撮影の合間には、テンションを維持するためか(!?)、Queenの曲を歌ったり奇声をあげたりと、終始楽しんでいる様子が伺えたパノラマパナマタウン。難しいシーンや凍えるような寒さなど、そんなことは一切関係なく、岩渕を軸に現場全体を自分たちのペースに巻き込んでいく、そんな印象だった。

 「ミュージックビデオって人間が出るというか、結局、人間力だと思ってて。僕らはずっと人間としても成長してると思うから、今、撮ったら一番面白いものができると思う。4人の生き様、人間が見どころだと思います」と、現在進行形のバンドに自信を見せた岩渕。荒唐無稽なストーリーに込められた、バンドと監督の見解がぶつかり、消化された「めちゃめちゃ生きてる」のMV。トータルの9割近くを全力疾走か乱闘シーンが占め、それが「バンドをやめるぐらいなら死ぬ、もしくは死ぬほど生きてやる」という意思を嫌が応にも体感させるーーパノラマパナマタウン史上最強に身体を張ったこの作品は、間違いなく、バンドのテーマ、そして今を120パーセント表現している。

(取材・文=石角友香/写真=はぎひさこ)

パノラマパナマタウン『情熱とユーモア』

■リリース情報
1st Full Album『情熱とユーモア』
発売中
価格:【通常盤】2,500円(+税)

<収録曲>
Top of the Head
Sick Boy
$UJI
めちゃめちゃ生きてる
世界最後になる歌は
月の裏側
真夜中の虹
distopia
くだらnation
Waterfront
Who am I ???
からの
俺ism
※アルバム配信URLはこちら

■ツアー情報
『パノラマパナマタウン 1st Full Album”情熱とユーモア”release tour 「HUMAN PARTY」』
3月21日(木・祝)千葉・LOOK
3月28日(木)宮城・仙台MACANA
3月30日(土)北海道・札幌SPIRITUAL LOUNGE
4月5日(金)福岡・DRUM SON
4月6日(土)広島・Cave-Be
4月13日(土)新潟・CLUB RIVERST
4月20日(土)大阪・梅田CLUB QUATTRO
4月21日(日)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
5月18日(土)東京・恵比寿LIQUIDROOM

■ライブ情報
『アルバム全曲再現ライブ「PANOPANA PAPARAZZI」』
日程:3月8日(金)
会場:タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
時間:START20:00
※対象店舗での購入者を対象にイベント参加券を配布(予約者優先)。

■関連リンク
パノラマパナマタウン オフィシャルサイト
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パノラマパナマタウン『情熱とユーモア』特設サイト

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