NEWS、アルバム『WORLDISTA』は“楽しい”が伝播する CDだからこそできる数々の仕掛け
すると今度は、ネオエレクトロニックワンダーステイト社(いわずもがな頭文字はNEWS)による「発表会-INTER-」の様子が聞こえてくる。イノベーションを起こす画期的なプロダクトを前に胸を弾ませる、あの感覚が蘇る。そこに、懐かしのゲーム音+ラブソングという「Digital Love」が。これも、また1つの革新だ。
そして、加藤シゲアキがラジオでも紹介したKacoによる「リボン」では、〈まだなにひとつ なにひとつ リボンかけて かせてない〉という歌詞に、どんなに成長しても返しきれない愛に思いを馳せる。見えてくるのは、NEWSとファンでもあり、家族でもあり。友人や恩師、そして恋した誰か。それは自由にイメージしていいのだと思う。想像こそがみちしるべ、なのだから。
ここまで多くの仕掛けを楽しませてもらったが、「クイズ-INTER-」では大きなモヤモヤが残る。加藤が「NEWS 6枚目のアルバム名は?」との問いに、『White』ではなく7枚目の『QUARTETTO』と答えて、不正解になっているのだ。熱量を示す「バワリー」という言葉や、4人体制で始動した『チャンカパーナ』の発売日にちなんだ数字など、すべてに意味をもたせるNEWSチームが何も考えていないとは思えない。“きっと何か……”と深読みしたくなる。
思い返せば「ログインシークエンス-INTER-」で、これは「ベータプログラム」だと言っていた。そして、公式HPに記載されていたのは「バージョン10の発売日」という言葉。そして「発表会-INTER-」のアナウンスで「バージョン1のゴーグルでパンフレットを見てください。大事なメッセージが浮き出てくるはずです」と言っていた。私たちが手にしたこの3Dメガネつきの『WORLDISTA』はバージョン1なのだろうか? とすれば、バージョン10とは?
そして、メイキング映像で映り込むMVセットの壁にかかっていたカレンダーは、1月22日(水)となっていたが、2019年1月22日は火曜日だったはず。ということは、これは2020年の1月22日(水)に何かがある? ……と、考えれば考えるほど聞き返したくなるし、見返したくなる『WORLDISTA』。嗚呼、なんてめんどくさくて、愛しい作品なのだろう。このアルバムを引っさげたライブも、そして“S”のテーマで作られる次作アルバムも期待せずにはいられないではないか。
(文=佐藤結衣)