乃木坂46 衛藤美彩、3月でグループ卒業 “お姉さんキャラ”を開拓した活躍を振り返る

 衛藤は現在26歳で、白石麻衣、松村沙友理、卒業した橋本奈々未と同い年。デビューシングル『ぐるぐるカーテン』から、白石、松村、橋本は福神入りを果たし、6thシングル『ガールズルール』では3人がフロントメンバーへと前進していく中、衛藤は一人アンダーメンバーとして奮闘し苦悩していた。転機となったのは、7thシングル『バレッタ』。9thシングル『夏のFree&Easy』からは選抜入りが定着し、13thシングル『今、話したい誰かがいる』ではついにフロントメンバーに選ばれる。

 2014年4月に幕張メッセで開催されたアンダーライブは、客席が半分にも満たないアンダーの苦節の時期を象徴したライブだった。『乃木坂46×週刊プレイボーイ2018』内で企画された「ライブ総選挙」で、衛藤は1位にこのアンダーライブを選択。『今、話したい誰かがいる』でのインタビューでは、アンダーを経験し同時期にフロントへと登った深川麻衣と共に「アンダーでの経験は、あの時を経験しているから何かあったとしても全然乗り越えられる、みたいに自分を励ます材料になっているという感じです」と振り返っている。(参照:乃木坂46衛藤美彩と深川麻衣が考えるグループの現在地 「いろんな乃木坂を見せたほうがいい時期だと思う」

 今でこそ、乃木坂46の中では新内眞衣や白石、松村がお姉さんメンバーというイメージであるが、衛藤はいち早くお姉さんキャラを確立した一人だった。『乃木坂工事中』の番組企画「春の1万円ツアー」では、人力車を引くお兄さんに色仕掛けで値下げ交渉に踏み切ったり、幼い男の子を見かけては「可愛くて食べちゃい……」と言いかけ、設楽からその“エロさ”を評価されることも多かった。また、握手会での対応には抜群の定評があり、グアムロケでは現地の人に握手で接し、「I like you.」とアタックするなど、その懐に入り込むコミュニケーション感覚を垣間見せていた。

 さらに、『乃木坂工事中』や『乃木坂46時間TV』では、衛藤が一人風呂上がりに家飲みをするという、自身の持ち込み企画を展開。当時としては斬新な内容であり、一貫したキャラ徹底が衛藤の人気に火が点いた要因の一つだっただろう。長女役として、伊藤純奈、久保史緒里と出演した舞台『三人姉妹』や、樋口日奈、与田祐希と共に三重県松阪市を巡った20thシングル『シンクロニシティ』の特典映像「旅する3人~最高のお土産を探して~」などでは、3期生のお姉さん役として尊敬されるメンバーに定着している。

 3月19日に両国国技館にて卒業ソロコンサートを開催し、3月31日の全国握手会をもって乃木坂46から卒業する衛藤。グループ卒業後も芸能活動を続けるとのことで、レギュラーモデルとして活躍するファッション誌『美人百花』など、衛藤の姿は見ていけそうだ。

 衛藤の夢の一つだったというソロコンサートは、乃木坂46では2017年12月に生田絵梨花が『MTV UNPLUGGED』として豊洲PITで開催して以来、2人目。衛藤は『バレッタ』に収録された「私のために 誰かのために」を始め、生田、桜井玲香とのユニット・藤桜梨による「雲になればいい」など、歌唱力の高いメンバーとして以前より活躍しており、2018年4月には『うたコン』(NHK総合)にて生田、久保史緒里と太田裕美の「さらばシベリア鉄道」を披露していた。グループで行う卒業コンサートをメンバーへの餞とするのがこれまでの形式であったが、昨年11月に卒業した若月佑美が開催した「卒業セレモニー」からそのあり方は少しづつ変わりつつある。衛藤もソロコンサートという大きな挑戦に臨み、グループを旅立っていくという新たな形が作られることとなる。

 衛藤は公式ブログにて、「最後に皆さんと同じ時間を共有して、私なりの形でこれまでの感謝を伝える場所にしたい」と綴っており、約8年間走り続けてきたアイドル・衛藤美彩としての集大成と、グループにとってもこれからが見えるソロコンサートになるだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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