関西弁の歌詞の“名曲”が多い理由 言葉がメロディに与える影響を考える
ヤバイTシャツ屋さんが昨年リリースした「かわE」もある意味で、ウルフルズの「ええねん」と似たようなアプローチを用いた楽曲である。サビに〈やんけ〉という関西弁を多用することで、リフレインするメロディの気持ち良さを最大限にしている。そもそも関西弁の音構成は、標準語とは少し違いがある。マクドナルドのことを「マック」と略すのが一般的なのに、関西では「マクド」と略す方が一般的と言われている。これは、関西弁の特質を如実に表している。音の一つ一つをはっきりと発音するのが関西弁の特色なのだ。「ん」という音もきちんと発音するのが関西弁の特徴だ。こういう音の性質がロックサウンド、特に疾走感のある歌のメロディにメリハリをつける働きを行い、言葉がメロディに機能的に働きかけるのである。
つまり、関西弁は単に「強い言葉」なだけではなく、歌詞を印象的にし、メロディも魅力的なものに変えてしまう要素があるのだ。だからこそ、関西弁の曲には名曲が多く、長いこと歌い継がれる歌が多いのかもしれない。まあ、そんな筆者も関西人のくせに、思いっきり標準語でこんな文章を書いてはいるのだけれども……。
■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。