なぜ今、ジャネット・ジャクソンなのか ビヨンセやアリアナなどに影響を与えた“革新性”に迫る

 一方、MVやライブで見せるダンスパフォーマンスでは、ソロでの圧倒的な存在感だけでなく、ダンサーとの高いシンクロ率を見せたパフォーマンスも、後の女性アーティストたちに影響を与えた。実兄マイケル・ジャクソンと共演した「Scream」のMVでも兄弟で見事なシンクロダンスを見せており、『Control』の収録曲「The Pleasure Principle」では椅子の背の上に乗るパフォーマンスや、『All for You』(2001年)収録曲「Doesn't Really Matter」では足場が変動するステージでのダンス(床を滑る動作も振り付けに導入)を取り入れるなど斬新なパフォーマンスも多数。一方で最新曲「Made For Now」のMVでは、様々な人種の人々が踊る様子を通して、初期から変わることなく人種問題に関するメッセージを伝え続けている。ジャネットは視覚面においても、「革新性」と「普遍性」を行き来するように幅広い要素を表現しているのだ。

Michael Jackson, Janet Jackson - Scream (Official Video)
Janet Jackson - The Pleasure Principle
Janet Jackson x Daddy Yankee - Made For Now [Official Video]

 昨今の音楽シーンでは様々な形で女性アーティストの活躍が続いている。それぞれの個性は多種多様であるにもかかわらず、そのすべてを繋ぐルーツのひとつとしてジャネット・ジャクソンがいる。そう考えてみると、2月に行なわれる『JANET JACKSON STATE OF THE WORLD TOUR 2019』は、そのレジェンドの現在を体験できる貴重な機会になりそうだ。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる