『オオカミくん』シリーズ出演でも話題のラップアーティスト さなり、“柔軟さ”が開く新たな表現の扉

 AbemaTVにて配信中の女子高生に大人気の恋愛リアリティーショー『オオカミくんには騙されない』シリーズ。かつて吉田凜音や北原ゆかなどが出演した同番組に、今回もひとりのアーティストが登場することが決定した。

 SKY-HI『Roun A Ground 2018』では名だたるミュージシャンと共に、ゲストとして名を連ねた新進気鋭のラップアーティスト、さなり。端正な顔立ち、そして若干16歳とか思えない音楽センスは、早耳なリスナーの間で注目を集めている。

100万円を手にした中学生ラッパーは?「OverFlow」

 そもそもさなりは、A-sketchとKAI-YOUが新世代のラップアーティストを開拓するべく開催されたプロジェクト「OverFlow」の優勝アーティストである。最年少とは思えぬ堂々としたパフォーマンスや、その場の視線を一気にさらってしまう存在感は会場にいるものを虜にした。グランプリの決め手となったのは“将来性”ということだが、彼の作品に触れれば嫌でもそれを実感させられることになる。

ポップネスに富んだメロディと等身大なリリック

 まず、彼の楽曲はメロディが美しい。1度聴けば耳に残るフレーズ展開や音運びからはtofubeatsやぼくのりりっくのぼうよみにも通じる、大衆にアプローチできるポップネスを感じさせる。グロッケンやシンセサイザーなどを適所に織り込み、楽曲が単調にならないように仕上げるバランス感は彼が若干16歳であることを疑いたくなるほどだ。また、ミュージシャンにおいて“天才”と呼ばれる人々というのは、音数のセンスも絶妙である。彼らは多すぎず少なすぎない最適解で、自身の音楽に引きこんでしまう。必要以上に肉厚にせずとも不足ないサウンドに感じるハーモニクスや、聴く者をグッと惹きつける休符の使い方。それらは一朝一夕で身に付くことではないだろう。彼の場合は、中学1年生のころに始めたフリースタイルラップによって得た、抜群のグルーブ感が多大に活かされている。

 話すとハスキーだが、歌うとアンニュイで耳に残る声も彼の魅力のひとつだ。変声期前の少年を思わせるどこか危うい声は、低音でラップをすると力強くハッキリと刻まれ、メロディを歌えばとスッと聴く人の心に馴染む。その声が唱えるのは、わかりやすい日本語を基調とした万人に理解されやすいリリックである。平易な表現と言ってしまえばそれまでかもしれないが、そもそも言葉というものは伝わらなければ意味がない。16歳のさなりが歌うからこそ届く等身大な歌詞を彼は紡いでいる。

〈ないものをねだってばっか/くだらない日々を過ごすんだ/掴んでも変わらない事に気づくのさ〉「嘘くせぇ日々」

 背伸びをせず、いまの自分が持っている嘘のない言葉を曲に乗せて届ける。だからこそ彼の歌声は真っすぐ耳に届くのではないだろうか。

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