petit milady×河谷英夫が振り返る、プチミレ歴代MVに込められた実験的アイデアと結成5年の軌跡

 「A or A!?」のインパクトは大きかった(竹達)

petit milady - 『A or A!?』 (TVアニメ「ありすorありす」OPテーマ) (YouTube Edit) #petitmilady #ありすorありす

――河谷監督はそういった撮影も含めて、petit miladyのMV製作のうえでどんなことを心がけられているのでしょう?

河谷:うーん……「なんでやねん!」って突っ込みたくなるところですかね。たとえばおふたりも、ライブのMCとかトークとか面白いじゃないですか。 でも面白いのって、ちょっとはみ出して怒られるぐらいのところだと思うんです。きっとMVもそういう感じで、ちょっと怒られそうなぐらいなところを突く、というか。そのへんの「なんでやねん!」って言われる面白さみたいなところが、今となってはプチミレらしさなんじゃないかな。この楽しさは、ほかの作品では味わえないかもしれない(笑)。だからpetit miladyのビデオは、僕にとっての“ごちそう”なんですよ。

悠木:でもそれこそ「A or A!?」の冒頭なんて、「なんでやねん!」の極みですよね(笑)。私、あまりにも楽しくて、あの化粧のまま家帰ったんですよ! 楽しすぎて、家族にあれを見せたくて……おばあちゃんに「よく似合うね」って言われました。

竹達:タクシーの人に何も言われなかったの?

悠木:うん。何も。なんならちょっとツッコミ待ちぐらいだったんですけど、触れられなかったです(笑)。

竹達:私も「A or A!?」はやっぱりインパクトが大きかったです。あのメイクがOKなんだったら、もうなんでもできるなって思いました。

河谷:僕はもう、あのとき竹達さんの天才ぶりが……今でも笑えるんですけど、鏡見ながら自分でおでこに「にく」って書いてたんですよ。でも鏡見ながらだから……(笑)。

悠木:鏡文字になっちゃったんですよ(笑)。

河谷:もう、こんな天才はいない! 現代の長嶋茂雄がここに……。

竹達:あー、恥ずかしいよぉー!(笑)

河谷:あれはズルい!

竹達:いや、めっちゃ真剣に書いたんですよ! 「早く上げなきゃ!」と思って超真面目に書いてたので、完全にただの事故なんです!

悠木:しかも全員鏡張りの部屋でメイクしてたから、直前まで誰も気づいてなくて。で、パッとこっち向いたら「えっ!? なんて書いてあるの!?」って聞いたら……。

竹達:「え? “にく”ですけど……?」みたいな。

悠木:その瞬間、スタッフ全員の頭に“?”が浮かんで、「……!」って気づいてゲラゲラ笑って(笑)。ホント天才ですよ。

河谷:でもそんなふうに楽しく話してくれてますけど、結構過酷な撮影もあったんですよね。

petit milady - Howling (Music Video) (5thアルバム『Howling!!』リードトラック) #petitmilady

――過酷というと?

竹達:なんだろう? 最近だと、「Howling」でエアコンがなかったりとかかな?

悠木:時期的にも9月の頭ぐらいでまだ暑かったので、頭の方に撮ったシーンと最後の方に撮ったシーンの顔が、汗かきすぎてて全然違うんですよ。

竹達:夜に撮った後半のシーンとか、すごいほっそりしてるよね。

悠木:火花がバーっと散ってるシーン、撮影が後半だったので唐突に痩せてるんです(笑)。

――その「Howling」のMV製作にあたって、河谷監督はまず楽曲からどういうイメージを持たれたんでしょう?

河谷:毎回みんなで「今回は何で遊ぼう?」みたいに話をして方向性を決めるんですけど、そもそも「ハチが着たい」っていうところから始まったんだよね。

竹達:(プロデューサーの)工藤さんの、遺言みたいな必死のハチコールが(笑)。

悠木:工藤さん、具合悪そうだったもんね(笑)。それで「そういえば“KEEP OUT”のテープも、黄色と黒ですもんね」みたいな話になって、それも「ロックっぽい!」みたいになりましたよね?

河谷:そうそう。曲を聴いた時点では僕は学園ロックモノみたいな企画を出してたんです。けど、その提案を受けて「ハチの姿で“ロックあるある”みたいなのをやってるビデオにしよう」ってスパッと割り切ったんです。そしたら、なんにも訴えてないんだけどすごいメッセージ性を感じるようなビデオができました。

悠木:撮影のときに河谷さんに言われて「めっちゃロック!」って思ったのが、“画面を手で塞ぐ”! すごくカッコよく歩いてきて、画面を手で塞ぐっていうのが「超ロック!」って。あと、火花も。

――特に今回の撮影で、他にも印象に残っているシーンなどはありますか?

河谷:毎回碧ちゃんが全力投球なので、ヘッドバンギングのシーンで一発で頭が飛んじゃって。

悠木:触角がバーン! って……いや、絶対楽しいと思ったんですよ! なんか変なところ負けず嫌いなんで、「絶対勝ちたい!」って思ったんです。

竹達:何? 何と戦ってるの?(笑)

悠木:いつも「緩めたら負けだ」って謎の全力投球をしてしまって。後々「これは事務所OKが出るのだろうか?」って冷静になっちゃうときもあるんです(笑)。それぐらいプチミレのMVを撮ってるときってアドレナリンが出まくってハイになってて、超楽しいんですよね。

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