Aqours、結成3年半で得たパフォーマンスの“輝き”とは? 『紅白歌合戦』初出演の注目点を解説

 そしてふたつめは、たゆまぬ研鑽によって向上し続ける、パフォーマンス自体の質の高さである。これは前述の鈴木についての記載とも少々重複するが、とにかくどの場面でどのメンバーのパフォーマンスを切り取っても、振付のみにとどまらず歌声や表情で魅せることが終始心がけられており、一分の隙もないのである。しかもそのうえで、技術的に困難な部分も回避せずに取り組み実現させているのも彼女たちのパフォーマンスのポイント。たとえば伊波杏樹(高海千歌役)は挿入歌「MIRACLE WAVE」の曲中で、千歌同様見事なバク転を披露。第2期での千歌の成長を大きく感じさせる大事なパートから逃げずに、見事に成し遂げた。また、斉藤朱夏(渡辺曜役)は第1期OP「青空Jumping Heart」のサビでスピンしながら前進するという他パートに輪をかけて難しい部分も笑顔で難なくこなしているうえに、元々のダンススキルの高さもあいまって、どの楽曲でも元気いっぱい躍動し続けている点も魅力だ。

Aqours 1stSingle「君のこころは輝いてるかい?」Full

 これらの要素は、いずれも彼女たちが3年あまりの活動を重ねて手にした“輝き”。それは作品やメンバーへの深い愛情を持ち、ストイックに取り組み続けたからこそ為し得たものである。そして不思議なことに、それすらも必死にあがき続けて自らの輝きにたどり着いた、作中のAqoursの姿と重なり合うもののように感じられ、またファンの感動を呼ぶのである。

 その3年半の活動の結晶は、何千万人にもおよぶであろう過去最大級の同時視聴者に、いったいどんな鮮烈な印象を与えるのだろうか。彼女たちの“輝き”が日本中を席巻する瞬間は、もうすぐそこにまで迫ってきている。

■須永兼次(すなが・けんじ)
アニメソング・声優アーティスト関係を中心に活動するフリーライター。大学の卒論でアニソンの歌詞をテーマにするほど、昔からのアニソン好き。現在は『リスアニ!』『月刊ニュータイプ』や『TV Bros.』等に寄稿。

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