シングル『City magic/Hummingbird』インタビュー
AmamiyaMaakoが語る、自身のルーツとDTMの魅力「シーンを引っ張っていけるような存在に」
女の子のDTMシーンを広めたい
ーーそもそもDTMで曲作りをするようになったきっかけは、何だったのですか?
AmamiyaMaako:自分で曲を作るようになったのは、2年半くらい前です。ピアノやギターを弾き語りする人はすでにたくさんいるので、そこで同じように弾き語りをやっていても勝ち目がないと思って(笑)。それで、じゃあ自分の個性が活かせるものは何か? 自分の強みとなるものは何か? と考えて、出てきたのがサンプラーを使うことやラップボーカルというスタイルです。もともと機械系がけっこう得意だったのもあって、サンプラーとかデジタル機材を使うのは、ちょうど合っているんじゃないかと。
ーーサンプラーは、誰かから教わったりしたんですか?
AmamiyaMaako:Native InstrumentsというメーカーのMaschineという機種を使っているんですけど、ほとんど独学です。最初はネットでどういうものがあるか研究して、目星をつけておいて、安くなるお正月の初売りで買いました(笑)。幸いミュージシャンが周りにたくさんいたので、何が必要かとかどこのメーカーがいいとかアドバイスをたくさんもらったし。使い方は、とにかく動画を見まくって覚えました。
ーーそういうサンプラーを駆使しながら、パソコンで曲を作っている。DTMをやっていて、どういうところが楽しいですか?
AmamiyaMaako:音色一つで雰囲気ががらりと変わるところですね。最初にスネアの音を決めて、そこからイメージを膨らませて作っていって、途中でやっぱり違うかなと思ってスネアの音を変えてみると、それだけで曲の雰囲気が変わるんです。そういうところは、面白いです。
ーー都会的な雰囲気になったり、あえてダサい感じになったり?
AmamiyaMaako:そういうのもあるし。昔に流行った音を使えば、昔の曲のような雰囲気になるし。ドラムの音に限らずシンセの音もそういう変化が如実なので、音色の研究は常にしていますね。
ーードラムを打ち込み始める時には、何かイメージがあるんですか?
AmamiyaMaako:漠然としたものはあります。お茶をしながら流れていて心地の良い曲にしよう、みたいな。それとか、色で決めることもあります。「今回は紫色っぽくしよう」みたいな。
ーー今、曲を作る時に意識するのは?
AmamiyaMaako:パッと聴いて格好いいとかオシャレだというだけじゃなく、1曲まるまる聴いて、あっという間に聴き終わっちゃうような。飽きずに聴けるものですね。ヒップホップはループが多いから、その格好良さもあるけど、それが聴き馴染みのない方には、飽きに繋がってしまうところがあると思って。だから、ヒップホップということだけにとらわれないように、単調にならないように、自由に作ることを意識しますね。海外では、コードが少なかったり、リズムがシンプルでループしていても、どんどん音が重なっていってドラマチックさを演出するような曲もたくさんあるので、そういう部分も意識するところですね。
ーーR&Bの要素も意識しますか?
AmamiyaMaako:音色自体は今どきのものを意識しますけど。R&Bのエッセンスも入れたいとは思っています。それに、ジャズヒップホップの曲のこのビートを入れたいとか具体的なものを考えるときもあるし。それを出したり引いたりしながら、組み合わせていっている感覚です。たとえばレコーディングでギターを弾いてくれるミュージシャンの方に、ジョージ・ベンソンのこの音色にしてほしいと、けっこうマニアックな注文をして困らせてしまうこともあります。
ーーラップに対しては、どういう意識ですか?
AmamiyaMaako:そんなにがっつりヒップホップやラップを勉強したわけではないんですけど、歌い方の一つの技法と言う感覚です。1stアルバム『Baby scratch』でも、ラップやスクラッチをたくさん取り入れていて。決して全部がジャズヒップホップというわけではないけど、あくまでも歌を中心にして、それと親和性のある要素を盛り込んでいったのがラップだったり、スクラッチって感じです。でも実際に取り入れてみて、自分の表現の幅が広がった印象がありました。
ーーAmamiyaさんの楽曲は、どういう人たちに聴いてほしいですか?
AmamiyaMaako:大学生あたりにも喜んでもらいたいけど、まだまだ届いてないですね。これは年齢問わずですが「この曲知ってる?」とか「格好いいんだけど、聴いたことある?」みたいな感じで、知っていたら自慢できるみたいな感じになれたらいいなって思います。オシャレな洋服屋さんとかカフェで流れていたらうれしいし。場所で言ったら、やっぱり渋谷なのかな。
ーー今後こうなりたいとかは、ありますか?
AmamiyaMaako:私みたいにDTMで音楽を作っている女性シンガーソングライターが増えて、それがちょっとした一つのファッションみたいになったらいいなと思います。私はもともと何でもやりたいタイプで、「どうせ今からやってもムダだよ」と言って、やる前からチャンスを潰している子を見ると、やきもきしてしまうんです。DTMって確かにギターやピアノと比べたらとっつきにくいところがあるんですけど、やってみたら意外とできるし楽しいんだよということが、伝えられるようになったらうれしいです。ムーブメントと言うと大げさだけど、「私もDTMやってみたい」と思ってくれる人が増えたらいいなと思いますね。
ーーギターとか、女の子ウケする可愛い要素もあったりする。サンプラーにもそういうのがあったらいいですね。
AmamiyaMaako:私は、サンプラーも可愛いと思いますよ(笑)。私みたいなタイプはあまりいないので、サンプラーのメーカーさんから会社に呼んでいただいて、新機種を触らせてもらったりとか、色んな情報を教えてもらってます。やっぱりサンプラーは、DJシーンなどで使うことに特化した機材で、シンガーソングライターの女の子が使うことは珍しいそうなんです。だからやる子が増えれば、女の子仕様のサンプラーが発売されるかもしれないし。頑張って広めていきたいですね。
ーー12月29日には、タワーレコード新宿店 7階イベントスペースで、今年最後のライブがありますね。
AmamiyaMaako:この1年の集大成の日になったらいいなと思っています。フリーライブなので、まだ私のライブを観たことのない方に、ぜひたくさん観ていただきたいです。女の子にもたくさん観てほしいですね。ライブでは私もサンプラーを使ったりするので、やっているところをぜひ観てほしいです。それで「私もやってみたい」と思ってもらったらうれしい。サンプラーがなくても、Mac1台あれば既存のソフトで作れるし。クラブシーンでDJをやりたいと言う女の子はたくさんいるので、きっと潜在的に興味を持っている子はたくさんいると思います。
ーー今後は、どういうライブをやりたいですか?
AmamiyaMaako:ライブハウスの方に提案していただいたことがあるのは、360度お客さんに囲まれてやるのはどうですか? って。それは面白そうだなって思いました。あと、ドラムはサンプラーで生音をサンプリングして使っているんですね。それはサポートメンバーに入っていただいてやってもらっているんですけど、見た目にも格好いいので、そういう編成でのライブはどんどんやっていきたいです。
ーー目標とか最終的に目指しているアーティスト像は?
AmamiyaMaako:メジャーデビューも一個の目標ですけど、それよりもやっぱり女の子のDTMのシーンを広めていくことです。それを引っ張っていけるような存在になりたいです。あと、ずっと進化している人でありたいです。そういう意味では、ジャンルは違うけど椎名林檎さんはずっと格好良くて憧れますね。
ーーAmamiyaさんは、歌い方もそうですけど、キャラクター的にもクールな面があって、そこも魅力ですね。
AmamiyaMaako:ツンデレってことですか?
ーーツン多めみたいな。
AmamiyaMaako:ああ(笑)。確かに黙っていると、「怖そう」と言われることはあります。今のお客さんは、そういう私を温かく見守ってくれている、心根のやさしい方たちの集まりです!
(取材・文=榑林史章/写真=池田真理)
■リリース情報
『City magic / Hummingbird』
発売:2018年10月31日(水)
タワーレコード新宿店限定発売
価格:¥1,000(税抜)
<CD収録内容>
01 City magic
02 Hummingbird
■インストアライブ情報
12月29日(土)START 12:00
内容:ミニLIVE&特典会
会場:タワーレコード新宿店 7階イベントスペース
詳細はこちら
■ライブ情報
『Make Happy!!~Year End Party 2018~』
12月28日(金)代官山LOOP
『AmamiyaMaako pewsents
「Shibuya Scratch vol.3」』
1月16日(水)渋谷GUILTY
『Make Happy!!〜New Year Live 2019〜』
1月18日(金)代官山LOOP
『YURE NIGHT~ AmamiyaMaako, Welcome to Osaka City!』
1月21日(月)大阪北堀江club vision
『YURE NIGHT~ AmamiyaMaako, Welcome to Osaka City!』
1月23日(水)名古屋新栄APOLLO BASE