『Gravitation』インタビュー

黒崎真音が『禁書目録』新OP「Gravitation」で受け取った、偉大な先達からの言葉のバトン

アニメとヘヴィメタルの異文化交流を

ーーそして大サビ頭の〈次の世界で 違う名前で 生まれてきたら 楽になるかな〉ってすごいパンチラインですよね。この人、どんだけ現状に絶望してるんだ? っていう(笑)。

黒崎:改めて読み返してみるとヤバいですね、私(笑)。

ーーだからこそ作詞家・黒崎真音の凄味を感じました。

黒崎:私が演じさせてもらった有栖川みちるっていう役が、自分の在籍しているクラス全員が誰かに惨殺された中、唯一生き残ったっていう存在で。しかも記憶が混濁していて犯人の顔も思い出せない。でもその見えない犯人という存在を追いかけているという子で、その悲しみや絶望を抱いている感じがすごく魅力的というか、面白く感じられたんですよね。

ーーそれで映画の制作陣からの「主題歌の作詞を」というオーダーに、みちるの心情に寄り添った歌詞で応えた、と。

黒崎:いや、今回は逆なんですよ。

ーー逆?

黒崎:ある夜、映画の撮影をしているときに空を見上げたら月が浮かんでいて、それを眺めていたら、なんとなく「そういえばこの映画って主題歌作らないのかな?」っていうことが気になりだして。それを映画のプロデューサーさんに伝えたら「作りましょう」って言ってくださったので、実際に月を見たことと、物語がどこかおぼろげなことを掛けて「Hazy moon」っていうタイトルで、歌詞を1コーラスだけ書きつつ、作曲とアレンジをしてくれた宮崎京一さんに「有栖川みちるの心情と『BLOOD-CLUB DOLLS』の謎に包まれた世界観をイメージした曲を書いてください」ってお願いしてできあがったって感じなんです。

ーーおーっ! まさにさっきおっしゃっていたとおりというか、映画撮影という黒崎さんにとっての新たな刺激がダイレクトに音楽制作に反映された、と。

黒崎:今回の映画ではそれもうれしかったんですよ。しかも最初は有栖川みちるの視点で歌詞を書こうと思っていたんですけど、サビ頭の〈無くした日々が 愛しさになる〉っていうフレーズが思い浮かんだとき、「あっ、この曲、映画に出てくるみんなのための曲にもなるな」っていう気がしたんです。それぞれが歪んだ愛情を抱えていて、なんかどこかで歯車が噛み合わなくなっちゃったという映画のストーリーを表現できる気がしたというか。実際、自分で言うのもなんなんですけど(笑)、映画のトレーラーで映像と一緒にこの曲が流れてきたときに歌モノのすごさみたいなものを感じちゃったんですよね。歌が乗ると、こんなにも映像って雰囲気が増すというか、立体的になるのか、って。これもこの映画に出演させていただくというきっかけがなかったら知ることができなかった、新しい刺激ですね。

ーーとなると、2018年はいい形で締めくくれそうですね。川田まみさんからのバトンをしっかり受け取ってファンからもすでに受け入れられている「Gravitation」と、新鮮な体験をクリエイティブの種にするという黒崎さんイズムが結実した「Hazy moon」をリリースして終わるわけですから。

黒崎:そうですね。あとはクリスマスライブを残すのみって感じですね。

ーー12月24日という特別な日に、赤坂ACTシアターというライブハウスとはまた違うタイプのハコでの公演ですけど、どんな感じになりそうですか?

黒崎:クリスマスイブだからラブソング縛りで、みたいなことはせずに、ガッツリ黒崎真音のライブを楽しんでもらおうとは思ってるんですけど、ライブタイトルが「The Gift」なので、サプライズギフトみたいなものはやってみたいですね。本当に私が勝手に思っているだけで、全然実現できるかどうかわからない話なんですけど、クリスマスの街並みの中で私が誰かと待ち合わせしている映像が流れて、その相手が映し出された瞬間、ステージにシークレットゲストとして実際にその人が登場するとか(笑)。

ーーライブパフォーマンス自体はシリアスなものになるけど、その周辺の演出ではちょっと遊べるかな、という感じ?

黒崎:そうですね。遊び感は出したいです。

ーーそしてクリスマスライブが終わると、いよいよ2019年ですけど、どんな年にしましょう?

黒崎:私、ホントに今のことしか考えられないタイプで、未来の予定や目標を立てるのが下手なんですけど(笑)、ツアーは回りたいですね。

ーーアニソン界の今年屈指のヒット曲を引っ提げて全国ツアーって絶対ファンの方は喜びますよ。

黒崎:だとうれしいな、と思っていて。先日も北海道の帯広のイベントに出たんですけど、そういう場所だと本当にはじめましての方が多かったんです。そうやって黒崎真音を待っていてくださる方にはぜひ会いに行きたいですね。……あとこれはホントに余談なんですけど、私、ヘヴィメタルが本当に好きで……。

ーー存じ上げております。

黒崎:それでこのあいだ「アニソンメタルフェスをやりたい」ってツイートしたら、声優の喜多村英梨ちゃんが「えーっ、やりたい!」って返事をくれたんですよ。

ーー喜多村さんもゴリっとしたヘヴィメタルアルバムを作る、メタルヘッズですもんね。

黒崎:ほかにも「やるなら出たいです」って言ってくださるアーティストさんもいらっしゃったりとか。だからそういうフェスができたらいいな、っていう夢はあります。

ーーそれは余談扱いではなく、バッチリ証拠を残しておきましょう。関係者各位を「黒崎さんと喜多村さんがメタルフェスをやりたがってるぞ」と煽る意味でも(笑)。

黒崎:ぜひお願いします(笑)。でもホントに私や喜多村英梨ちゃんを応援してくださる方がたくさんいるように、アニメソングファンの中にもけっこうメタルファンって多いと思うんですよね。それにアニメソングきっかけでフェスを観に来た方がメタルに触れてくれたりしたらうれしいですし。

ーーそうですよね。『禁書目録』の黒崎さんのファンがフェスきっかけでメタルを聴くようになるって、こんなに文化的に豊かなことってそうそうないですもんね。

黒崎:ぜひゴリゴリの世界にハマってほしいですよね(笑)。

(取材・文=成松哲)

■リリース情報
『Gravitation』
11月21日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)¥1,944(税込)
初回限定アニメ盤(CD+DVD)¥1,728(税込)
通常盤(CD Only)¥1,296(税込)
※アニメ盤特典:描き下ろしイラストジャケット仕様

<収録曲>※3タイプ共通
.Gravitation(作詞:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士)
(TVアニメ『とある魔術の禁書目録Ⅲ』オープニングテーマ)
2.Hazy moon(作詞:黒崎真音 作曲:宮崎京一・Yo-Hey 編曲:宮崎京一)
(映画『BLOOD-CLUB DOLLS 1』主題歌)
3. Gravitation<instrumental>
4. Hazy moon<instrumental>

<DVD収録内容>
・「Gravitation」 MV、MVメイキング、TV SPOTを収録※初回限定盤のみ

・「Gravitation」MV(ショートVer.)、TVアニメ『とある魔術の禁書目録Ⅲ』ノンクレジットオープニングを収録※初回限定アニメ盤のみ

■ライブ情報
黒崎真音ワンマンライブ
12月24日(月・休)赤坂ACTシアター 
17:15開場/18:00開演
<お問合せ先>ディスクガレージ 050-5533-0888(平日12:00-19:00)

■イベント情報
11月20日(火)19:00開場/19:30開演
会場:アニメイト池袋本店9Fイベントスペース(握手会)
11月21日(水)19:00開場/19:30開演
会場:アニメイト秋葉原B1Fイベントフロア(サイン会)
11月22日(木)19:00開場/19:30開演
会場:AKIHABARAゲーマーズ本店(握手会)
11月23日(金・祝)12:30開場/13:00開演
会場:アニメイト横浜(握手会)
11月23日(金・祝)16:30開場/17:00開演
会場:アニメイト渋谷(サイン会)
11月24日(土)12:30開場/13:00開演
会場:第3太閤ビル(名古屋)(握手会)
11月24日(土)15:30開場/16:00開演
会場:とらのあな名古屋店イベントスペース(サイン会)
12月1日(土)12:00開場/12:30開演
会場:animate O.N.SQUARE HALL(大阪)(握手会)
12月1日(土)14:30開場/15:00開演
会場:ソフマップなんば店ザウルス1(サイン会)

【対象商品】 
• 「Gravitation」(初回限定盤CD+DVD・GNCA-0545)
• 「Gravitation」(初回限定アニメ盤・GNCA-0546)
※<通常盤>GNCA-0547はイベント対象外となります

【お問い合わせ先】
各公演の参加券の配布状況につきましては、参加券配布店舗へお問い合わせください。

TVアニメ『とある魔術の禁書目録Ⅲ』(© 2017 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ)

■番組情報
TVアニメ『とある魔術の禁書目録Ⅲ』

AT-X、TOKYO-MX、BS11、MBSにて放送中
番組公式サイト

■関連リンク
黒崎真音公式HP

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