>  > やなぎなぎが『色づく』EDテーマに込めた表現

『未明の君と薄明の魔法』インタビュー

やなぎなぎが明かす、“ストーリー仕立て”で表現した『色づく世界の明日から』ED曲ができるまで

関連タグ
やなぎなぎ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「いろんな場面の“涙”を声で表現できたら」 

ーーここからはカップリング曲のお話をお聞かせください。今回は「can cry」と「re-live」の2曲が収録されていますが、どちらも久弥直樹さんがシナリオを手掛けたPlayStation(R)4の新作アクションRPG『CRYSTAR -クライスタ-』のタイアップ曲ですね。

やなぎ:『CRYSTAR -クライスタ-』は“泣いて戦う”という設定のゲームなんですけど、最初にお話をいただいた時は「“泣いて戦う”ってどういうことなんだろう?」と思って(笑)。ただ、ストーリーを読ませていただいたらかなりズッシリくるものがあったんです。まず主人公の女の子(幡田 零)の目的が、亡くなってしまった自分の妹を助けるというもので、そこからさらにいろんな女の子たちの思惑が絡んでくる感じで。制作スタッフの方からは「“涙”をテーマにした楽曲」というリクエストをいただいて、物語も重たいものだったので、主題歌の「can cry」は(齋藤)真也さんにお願いしてかなりズッシリめにアレンジしていただいたんです。

ーーたしかに「can cry」はデジロック風のヘビーなサウンドで、同じく齋藤さんが編曲した「トコハナ」(2014年)に近い印象を受けました。齋藤さんと作られた楽曲では「Zoetrope」(2013年)も重めの音でしたし、齋藤さんにお願いする時はそういうイメージがあるのでしょうか?

やなぎ:最初にご一緒したのが「Zoetrope」だったので、私が勝手にそう思ってる部分があるかもしれないですけど、なんとなく共通するイメージはありますね。ご本人はおもしろいお兄さんという感じなんですが(笑)。この曲は私が作曲したので、真也さんにはまずラフをお渡ししたんですけど、「真也さんのバリバリ重たいサウンドでギュインギュインやりたいんです」とお伝えすれば、それでもうわかっていただけるんですよ(笑)。

ーー出だしの妖しいコーラスなど、全体的にゴシック感も感じられます。

やなぎ:そのあたりは作品のイメージが強いですね。キービジュアルを見せていただくとゴシカルな世界観が合いそうだったので、今回は多重録音のコーラスも随所に入れて。ラフの時点でもコーラスをたくさん入れてたんですけど、真也さんがさらに足してくれて、より分厚く、よりゴリゴリになりました(笑)。

ーーBメロでは珍しくかなりドスの効いた歌い方をされてますよね。

やなぎ:はい(笑)。あそこは人格違いというか、キャラクターが変わったイメージで。メインの声はエフェクトをかけて少し歪めていて、エフェクトのかかってない声が左右から聴こえる作りになってるんですけど、そこだけ感情が溢れすぎて慟哭してるような感じを出したかったんです。言い方はちょっと悪いですけど、投げやりというか、荒っぽい、普段はあまりやらない歌い方なので、レコーディングの時も楽しくて「もうちょっとやってみようかな?」っていろいろ試しながら歌ってました(笑)。

ーーその他にも、途中でホーリーな雰囲気になったり、ささやき声のような歌い方もされていて、多様な歌のアプローチに挑戦されてる印象を受けました。

やなぎ:今回は“涙”をテーマにした曲ですけど、涙を流すのは別に悲しい時だけではなくて、いろんな場面で流すものじゃないですか。そういういろんな場面の“涙”を声で表現できたらと思って、声を楽器と考えていろんなことを試してみたんです。普段は声をたくさん入れても結局そこから引いていくんですけど、今回は引かずに足していく方向だったので、そういう意味ではいつもより実験的な感じになったと思います。

ーー歌詞は『CRYSTAR -クライスタ-』の世界観を意識して書かれたのでしょうか?

やなぎ:制作スタッフの方から入れてほしいワードを具体的にいただいてたので、それを盛り込んではいますけど、具体的なストーリーは反映させてなくて、とにかく「涙とは?」ということを考えて書きましたね。

ーーちなみにやなぎさんが直近で涙を流したのは?

やなぎ:あまり泣かないんですけどねー……あっ、でも最近アマゾンプライムで『てっぱん』(2010〜2011年放送のNHK連続テレビ小説)を観て、「いい話だなあ」と思って涙腺にきたんですよ(笑)。主人公の女の子は養子なんですけど、中盤ぐらいでひょんなとこから本当のおばあちゃんと知り合って、お互い意地を張りながらも少しずつ家族になっていくというストーリーなんです。おばあちゃんが養子にとってくれたお父さんお母さんとも和解して、みんなでお好み焼きを食べるシーンで涙がポロっと流れて「良かったねえ」となったのが、一番最近かもしれないです(笑)。

ーーもう一方のエンディングテーマに起用されている「re-live」は、どんなイメージで作られたのですか?

やなぎ:こちらも涙の別の形を意識して作ったものになります。「can cry」のほうは「涙はどういう時に流れて、それを見たらどんな気持ちになるのか?」という涙の根本的な部分を書いてたんですけど、「re-live」はその涙から伝わってきたものを中心に書いていて。互いに言葉を交わすことはなくても、ポロっと一粒落ちる涙を見たら伝わるものがあるんじゃないかな、とか。音的にはスタッフロールが流れてる後ろでかかるようなイメージで作りました。

ーー「re-live」というタイトルや歌詞の内容から察するに、前作『無形のアウトライン』のカップリング曲「return」と同じく“生まれ変わり”という題材を取り扱われているようにも感じます。

やなぎ:詳しいことはゲームを遊んでいただければと思うのですが、もしそれまで伝わっていなかったことがあったとしても、今度生まれ変わったとしたら、その時には伝わるかもしれない、という思いがあったんです。一度は終わってしまったとしても、それを終わらせたくない後悔や次に託す気持ちを、やさしく送ってあげたいーーそういう気持ちで作った曲です。

ーー歌声も「can cry」とは対照的にやさしく語りかける感じで、涙の先の愛を感じさせるような感覚を抱きました。

やなぎ:全体的に、ピッチを気にして丁寧に歌うよりは、目の前にいる人に話しかけるような感じがいいなあと思ったんです。本当に次があるのかはわからないけど、せめて最後ぐらいは明るい気持ちがあってもいいんじゃないかっていう、救済の曲ですね(笑)。

ーーこの曲は出羽良彰さんが編曲されていて、いわゆるポスト・クラシカル的なサウンドになっていますね。

やなぎ:私は出羽さんのエレクトロニカなサウンドが好きなので、そういう部分をたくさん入れていただきたいということと、そこにストリングスがだんだんと加わることで感情の起伏みたいなものを表現していただければ、というふうにお願いしました。特にポスト・クラシカルみたいなものを意識してはなくて、私の聴きたい出羽さんのサウンドがこれだったという感じです。最後に私が送った仮歌を出羽さんが組み込んでくれた箇所があって、初めて聴いた時に自分自身がハッとするぐらい良かったんですよね。「仮歌を使ってこんなにも良い雰囲気にしてくれてる!」と思って(笑)。

ーー今回の2曲で『CRYSTAR -クライスタ-』という作品にどのように寄り添えたと思いますか?

やなぎ:ゲームのテーマ曲はアニメと違って何回も流れるわけではないので、一度目に聴いた時の印象を重視して作ってるんです。皆さんがゲームをプレイした時に、『CRYSTAR -クライスタ-』の女の子たちの物語により入り込める楽曲になったんじゃないかなと思います。

ーーまた、今回のシングルの初回限定盤には特典として、昨年に行われた色をテーマにした恒例のコンセプチュアルライブ『color palette 〜2017 Orange〜』より、ACIDMAN「赤橙」のカバーを含む4曲の音源を収録したCDが付属されます。

やなぎ:この時のライブでは、普段とは全然違うアレンジの曲やカバー曲も披露したので、もしかしたら今後のライブではもうやらないかもしれないし、せっかく音を録っていたということもあって、みなさんにいい環境で聴いていただけたらと思って収録しました。ACIDMANの「赤橙」はもともと好きな曲でしたし、このライブのテーマだった“オレンジ”にもちょうど合っていたので歌わせていただいたんです。

ーーライブも大切にされてるやなぎさんの魅力が凝縮したシングルになりましたね。そして今年のコンセプチュアルライブ『color palette 〜2018 Black〜』は、11月14日から11月18日までの5日間連続で行われることも決定しています。楽器の編成が公演ごとに変わるという斬新な試みですね。

やなぎ:なので構成が出来上がるまではめちゃくちゃ苦労しました。セットリストもそうですし、リハーサルもどこから手を付けていいのか悩んでますし(笑)。同じ曲でも楽器が変わることで聴こえ方が変化すると思うので、複数回来られる方はその違いを楽しんでいただけたらと思いますし、1日だけの方も「あの曲をこういうふうに演奏するんだ」と感じていただける部分があるはずなので、ぜひ足を運んでいただけたらと思います。今回は5日間連続のぶん会場は小さいので、いつもより演奏してる音も近くに聴こえると思いますし、自分自身も不安ながらも楽しみなライブですね。

ーー11月14日公演はピアノとハープという編成ですが、ハープをバックにライブするのは?

やなぎ:初めての経験なんですよ。こないだ少し弾かせていただいたんですけど、足で全音と半音を変えなくてはいけないので、実は演奏するのがすごく大変な楽器なんですよね。だから見た目は優雅な感じですけど、実はめちゃくちゃ忙しくて、クラシックの奏者の方もロングスカートの中は大変なことになってるみたいで(笑)。

ーーTwitterで演奏してる動画をアップされてたので、もしかして新しい楽器にも挑戦されるのかなと思ったのですが……。

やなぎ:今やってる楽器で精いっぱいです(笑)。

(取材・文=流星さとる)

■リリース情報
『未明の君と薄明の魔法』
発売中
価格:初回限定盤(CD+特典CD)¥1,800+税
通常盤(CD)¥1,200+税

<CD収録内容>
1.未明の君と薄明の魔法(TVアニメ『色づく世界の明日から』エンディングテーマ)
作詞・作曲:やなぎなぎ 編曲:保刈久明
2.can cry(PlayStation[R]4用ソフトウェア「CRYSTAR -クライスタ-」主題歌)
作詞・作曲:やなぎなぎ 編曲:齋藤真也
3.re-live(PlayStation[R]4用ソフトウェア「CRYSTAR -クライスタ-」エンディングテーマ)
作詞・作曲:やなぎなぎ 編曲:出羽良彰
4.未明の君と薄明の魔法[Instrumental]
5.can cry[Instrumental]
6.re-live[Instrumental]

<特典CD収録内容>※初回限定盤のみ
1. unjour
2. 赤橙(カバー)
3. カザキリ
4. landscape
※2017年に行なわれた「color palette ~2017 Orange~」(東京・よみうりホール)よりライブ音源をCDで収録

■ライブ情報
『color palette ~2018 Black~』
会場:東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

<日程>
11月14日(水)開場18:30/開演19:00
perform with:山本健太(Piano)/朝川朋之(Harp)
11月15日(木)開場18:30/開演19:00
perform with:山本健太(Piano)/佐々木貴之(Guitar)
11月16日(金)開場18:30/開演19:00
perform with:山本健太(Piano)/若森さちこ(Percussion)
11月17日(土)開場16:30/開演17:00
perform with:山本健太(Piano)/吉田翔平(Violin)
11月18日(日)開場16:30/開演17:00
perform with:山本健太(Piano)/佐々木貴之(Guitar)/若森さちこ(Percussion)

<チケット料金>
前売¥7,500(消費税込/ドリンク代別)
当日¥8,000(消費税込/ドリンク代別)
席種:全席指定

■関連リンク
やなぎなぎ公式サイト

      

「やなぎなぎが明かす、“ストーリー仕立て”で表現した『色づく世界の明日から』ED曲ができるまで」のページです。の最新ニュースで音楽シーンをもっと楽しく!「リアルサウンド」は、音楽とホンネで向き合う人たちのための、音楽・アーティスト情報、作品レビューの総合サイトです。

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版